2011年2月27日日曜日

The Mannish Boys / Shake For Me


『The Mannish Boys / Shake For Me』 (Delta Groove Productions)
1. Too Tired
2. Mona / Willie And The Hand Jive
3. Reconsider Baby
4. Educated Ways
5. Half Ain’t Been Told
6. Number 9 Train
7. Last Night
8. Hey Now
9. You Can’t Be Beat
10. Black Nights
11. The Bullet
12. Those Worries
13. Raunchy
14. Champagne & Reefer
15. You’ve Got Bad Intentions
16. Way Down South


デルタ・グルーヴ・レーベルの看板バンドで、しかもコミュニティー・バンドと化してるマニッシュ・ボーイズの2010年リリース、通算5作目のアルバムです。

今回のアルバムでは前作までレギュラー・メンバーだったボーカルのJohnny Dyerと、ギターのKid Ramosがゲスト参加となり、これでボーカルはFinis TasbyとBobby Jones、ギターはKirk “Eli” FletcherとFrank Goldwasser、もうこの4人は不動のメンバーということのようですね。そしてリズム隊は、ベースはRonnie James WeberからWillie J. Campbellに、ドラムはRichard InnesからJimi Bottに交代してます。ベースのWillie J. Campbellは、Kid Ramosと共に1993年頃から2002年頃までファビュラス・サンダーバーズに在籍してたベテラン・ベーシストです。ドラムのJimi Bottもウェストコースト界隈では結構有名なセッション・ドラマーで、85年のジミー・ロジャースからロッド・ピアッツァ、ウイリアム・クラーク、ビリー・ボーイ・アーノルドなどなど数多くのアルバムに参加してますね。

ゲスト陣も毎回豪華で誰が登場してくるか楽しみなのですが、まずはこの前紹介したニック・カランが(1)と(11)で参加。ジョニー・ギター・ワトソンの(1)では、意図的にワトソン張りのギターを弾いてるが、流石に間合いまでは真似出来ないみたい。でも引っ掛かり気味にパキパキ弾く感じなかなか良い雰囲気だしてて上手いな。ジミー・ヴォーンやキム・ウィルソンが高く評価してるのも頷けます。(11)はジャンピーでスウィンギーなインスト・ナンバーで、ウェストコースト・ブルースらしい一曲。初っ端のソロで登場するカーク・フレッチャーのジャンピンなギターがとにかく凄い。スウィンギーなピアノ・ソロからビバップなドラム・ソロ、そして、ニック・カランのギター・ソロと続く展開もなかなかカッコいい。

マイク・ジトがボーカルとギターで参加してる(2)では、ボー・ディトリーのいなたいグルーヴではなく、スウィング感のあるグルーヴというのもウェストコーストらしいところ。

リトル・ウォルターのスロー・ブルース(7)、歌はフィニス・タスビーだがハーモニカはロッド・ピアッツァが担当。このクロマチック・ハープの音色は沁みるね。ベースラインを弾くフランク・ゴールドワッサーとトリッキーなカーク・フレッチャーのギターもたまらんです。

リンウッド・スリムが参加した(12)やミッチ・カシュマーが参加した(14)など、一度に様々なハーピスト達のサウンドが楽しめるのもこのバンドのいい所だね。
他にもRob Rioのピアノの伴奏でボビー・ジョーンズが歌う(5)やフランク・ゴールドワッサーとジミ・ボットのユニットによる(6)、アーサー・アダムスなどなど聴き所は満載である。
最後の曲では“Big Pete” van der Pluijmという人が参加してるが、名前からしてアメリカ人ではなさそうですね。歌はロックっぽいけれどハーモニカはいい音出してるな。

毎回、名うてのミュージシャン達が挙って参加するマニッシュ・ボーイズですが、きっちりマニッシュ・ボーイズのサウンドを聴かせてくれます。それと、毎度このレーベルは録音にも拘ってるのも好きな所で、ギターの音やハーモニカの音、気持ち良く響いてきます。そういう点でも楽しめるアルバムですね。

2011年2月23日水曜日

Nick Curran & The Lowlifes / Reform School Girl


『Nick Curran & The Lowlifes / Reform School Girl』 (Eclecto Groove Records)
1. Tough Lover
2. Reel Rock Party
3. Reform School Girl
4. Kill My Baby
5. Psycho
6. Sheena's Back
7. Baby You Crazy
8. Ain't No Good
9. The Lowlife
10. Dream Girl
11. Flyin' Blind
12. Lusty L'il Lucy
13. Filthy
14. Rocker


ニック・カランは1977年メイン州ポートランド生まれで、テキサスで活躍してるブルース・ギタリスト&シンガー。ニック・カランという名を目にしたのは、ジュニア・ワトソンの2002年のアルバム「If I Had a Genie」が最初だったと思う。そして、ファビュラス・サンダーバーズのメンバーとなり「Painted On」に参加したことで知るところとなった訳です。また、ダイアルトーンのテキサス・ノースサイド・キングスにも参加してましたね。気になる存在ではあったのですが、ちょっと立ち位置が分からない人でしたので、何枚かあるソロアルバムも聴かず仕舞いでした。どうもセッション・ギタリストとしての顔とソロの顔は違うようですね。

さて、今回のアルバムはデルタ・グルーヴの中ではロック部門のEclecto Grooveから2010年にリリースされた自身通算5作目となる最新作です。
一発目はエタ・ジェイムスのR&Bナンバーですが、エタ・ジェイムスというよりもリトル・リチャードという感じで、50年代のロックン・ロールをワイルドに演奏してます。テキサス・ノースサイド・キングスでも「Slippin' and Slidin'」をやってましたし、他の曲でも我鳴ってはいますが語尾を上げる歌い方もリトル・リチャードだってりして、結構好きなのでしょうね。
2曲目はロカビリーで、元々ブルース・バンドからスタートした人なのですが、ロカビリー・バンドにも在籍した事があるみたいで、その辺りの影響なのでしょか。ボーカルにエフェクトを掛けてパンキッシュさを出してる所は好き嫌い分かれるところでしょうね。
3曲目はもろロネッツですね。The Modsがアマチュアだった頃よくこういうサウンド出してました。なんか懐かしいサウンドで、結構好きです。
ラモーンズを思わせるイントロから始まる(5)や(7)なんかは、アメリカらしいホットロッド系のノリノリのサウンド。(7)ではブルージーなギター・ソロも聴けるが、ワイルドなロックン・ロールが真骨頂という気がしてきました。家の中で椅子に座って聴くよりかは、車の中でガンガン聴くほうが楽しいサウンドですね。

2011年2月21日月曜日

Roy Gaines and his Orchestra / Tuxedo Blues


『Roy Gaines and his Orchestra / Tuxedo Blues』 (Black Gold Records)
1. Send For Me
2. Blues From Hell
3. Good Old Days
4. Rats In My Kitchen
5. Thang Shaker
6. Inflation Blues
7. Miss Celie's Blues (Sister)
8. Come Home
9. Reggae Woman (Calypso Blues)
10. Rock With You
11. Route 66
12. Outside Looking In

ロイ・ゲインズは略同世代のアルバート・コリンズと並ぶ、テキサスの大物ブルースマンなのですが、ボビー・ブランドやジュニア・パーカー、リトル・ウィリー・ジョン、チャック・ウィリス、ジミー・ラッシングにクルセイダーズ等のバンドに参加して、ブルースは勿論、R&Bやソウル、フュージョン、ジャズ等、結構多彩に弾き熟せる稀有な実力派ギタリストですね。
ですが、自身のアルバムで聴けるようなT-ボーン・ウォーカー張りに流暢で、しかもワイルドなジャンピン・ギターがやはり魅力的だと思ってるのですが、、、

2009年にリリースされた今回のアルバム、ホーン・セクションだけでも21名、リズム・セクションに9名、その中にはFred Jacksonを始め、John Stevens、Don Roberts、Wilton Felder、George Pandis、Kerry Loeschen、Joe Sampleなどなど錚々たるメンバーが参加して、ビッグバンド・ジャズをやっております。勿論、スウィングありジャンプありです。
このゴージャスなホーン・アンサンブルはほんとたまらんですね。
ナット・キング・コールやルイ・ジョーダン、クインシー・ジョーンズ等の曲を演奏してますが、このサウンドを端的に言ったら、吾妻光良 & The Swinging Boppersですね。

ロイ・ゲインズのギターはフルアコをメロウに響かせてまして、R&B/ソウル・ナンバー(1)でのT-ボーン張りのギターとソウルフルなボーカル、のっけから痺れさせてくれます。
ブルースの(2)やジャンプ・ナンバーの(3)などでは、それ程アグレッシブではないけれどゲイトマウス・ブラウンかというようなギターを弾いてて、この辺りなかなか良い感じです。
クール・ジャズという感じの(4)では、このゴージャスなホーン・アレンジがビッグバンドらしい醍醐味を味わえます。と同時に真空管アンプならではのダイナミックさで鳴らしてくれますので、迫力のあるサウンドを楽しめます。
ジャズ・バラード曲(8)ではビブラフォーンを導入、この音の響きはとても気持ちいいね。
スウィングものではクインシー・ジョーンズの(7)も結構好きですね。曲自体の良さもあるが、トランペットとクラリネットのソロの絡みがディキシーランドっぽくて良いな。
(10)はなんとマイケル・ジャクソンで有名なあの曲です。スローテンポのジャジーなフュージョン・ナンバー仕立てで、クルセイダーズを彷彿とさせるサウンド、かなり渋いです。Wilton Felderのサックス、Joe Sampleのピアノ、ロイ・ゲインズのギター、たまりません。
そして、(11)は勿論、ナット・キング・コールのバージョン。

やはりジャズはゴージャス感のある300B真空管で聴きたい所。自分も最近ようやく気に入った300Bを見つけました。ヴィンテージではないですが、ヴィンテージにはないパワフルな300Bサウンドで楽しんでおります。

2011年2月16日水曜日

John Németh / Name The Day!


『John Németh / Name The Day!』 (Blind Pig BPCD-5134)
1. Breakin’ Free
2. Name The Day
3. Do You Really Want That Woman
4. Heartbreak With A Hammer
5. Tuff Girl
6. I Said Too Much
7. Home In Your Heart
8. Save A Little Love
9. You Know
10. Why Not Me
11. Funky Feelin’

John Németh - vocals & harmonica
Bobby Welsh - guitar & piano
Smokey Davis - Fender Bass
Nick Fishman - drums & percussion
Austin deLone - piano & organ
Jake Smolowe - organ
Jeff Teczon - tenor sax
Frank Bailey - trumpet
Mike Rinta - trombone
Steve Willis & Ed Earley - background vocals


ジョン・ネメスの2010年にリリースされた通算5枚目、ブラインド・ピッグ・レコードからの3枚目となるアルバムです。
アメリカ西海岸で活躍してるシンガー&ハーピストで、初めて聴いた2004年リリースの2枚目のアルバム「Come and Get It」から改めて順に聴いてみたが、やっぱカッコいいね。
ハイトーンで良く通るソウルフルなボーカルと、ジョージ・ハーモニカ・スミスからウィリアム・クラークを継承する図太いハーモニカ。サウンドはシカゴ・ブルースやジャンプ・ブルースを主体としたウェストコースト・ブルース。この時はまだブルース色の方が強かった、と言うかブルースだった。それが「Magic Touch」、「Love Me Tonight」と枚数を重ねる毎にソウル色が強くなって、ジョン・ネメスのボーカリストとしての持ち味を考えると必然的な事であっただろうと思う。
2009年リリースの「Love Me Tonight」もソウル・アルバムと言っていいものだが、サウンドはソリッドな感じがしました。今回のアルバムはホーン・セクションを全面的に導入して、60年代のスタックスやハイ・サウンド辺りのサザン・ソウルに、さらにファンキー度を増したネオ・ソウルと言っていいサウンドですね。
ジャケットを見るとマイクだけを持って、歌う事に対する拘りというか熱意が感じられます。そういえば、昨年の10月、サンフランシスコ・ジャイアンツ対ドジャースの試合前のセレモニーで国歌を熱唱したらしいです。アメリカでは彼の歌唱力は既に認められたと言う事でしょうね。ですが、ジャケットの裏を見ると、クロマチック・ハープをしっかり握ってて、ハーピストでもある事を忘れてない所も好きですね。
収録曲はソロモン・バークの(7)以外は全てオリジナルで、駄作が1曲もなく、作曲能力が優れてるのにも感嘆させられるのですが、曲のアレンジや60年代のソウルを彷彿させるホーン・アレンジも素晴らしく、特にバンド・アンサンブルはめちゃくちゃカッコいいです。
ファンキーな曲ばかりではなく、途中(6)や(10)でのソウル・バラードがまたいいんですよ。特に(10)のオーティス・レディング張りにしっとりと歌い上げる歌唱力に、改めて感動させられました。ほんと素晴らしいです。
ファンキーな曲はどの曲も好きなのですが、しいて挙げるならば(1)(3)(4)辺りかな。明日は違う曲を選んでるかもしれない。(4)は唯一ブルース曲でジョン・ネメスのピロピロのハープもたまらんですな。自分が好きなパートに耳を澄ますのもいいですが、グルーヴに身を委ね全体像を聴き入ると、そのアンサンブルのカッコ良さに唸ってしまいますね。
手放しでベタ褒めのアルバムですが欲を言うと、リトル・サニーもぶっ飛ぶようなハープ・インストが聴きたいなって所かな。

2011年2月14日月曜日

T-Model Ford / The Ladies Man


『T-Model Ford / The Ladies Man』 (Alive Records 0103-2)
1. Chicken Head Man
2. Two Trains
3. I'm Coming To Kick Yer Asses
4. I Love You Baby
5. 44 Blues
6. Sallie Mae
7. My Babe
8. I Was Born In A Swamp
9. That's Alright
10. Love Me All Night Long
11. Hip Shaking Woman

T-モデル・フォードって一体何歳だろう?allmusicでは25年、Wikiでは20年、本人は21年生まれと言ってたような気がするが、本人にとってはそんな事はどうでもいい事のようですね。見た目からするとallmusicの25年が正しいような気がするが、するとB.B.キングと同い年になる。最近のB.B.の老け込み方を見ると、B.B.よりももうちょっと若いような気がしなくもないが、、、今を生きるフーチー・クーチー・マン、現役バリバリだったりしてね。

ギターを始めたのは本人曰く58歳頃らしい。いい加減だから当てにはならないが、遅咲きであった事は間違いないだろう。レコード・デビューも「Pee-Wee Get My Gun」の1997年で、当時自分もガレージ系のブロークン・ブルースと言われているサウンドを聴いてはいたが、ジョン・スペンサーやミック・コリンズでも足元にも及ばない程の強烈なインパクトがありましたね。結局ファット・ポッサムからは合計4枚のアルバムをリリースしましたが、その中でも2002年の「Bad Man」が一番好きだったりします。
それ以降は音沙汰がなくて、R.L.バーンサイドやポール”ワイン”ジョーンズは死んじゃうし、T-モデルも死んじゃったかなって思ってた所に、2008年突然「Jack Daniel Time」を発売してね、しぶとい爺さんだなとか、やっぱフーチー・クーチーは伊達じゃないねとか思ったものです。アコースティック・セッションとバンド・セッションを程よい按配で収録されてて、解放されたT-モデル本来のReal Dealなサウンドだろうと感じました。

そして、2008年の前作に続き2010年にリリースされた今回のアルバムは、アコギ、ハーモニカ、パーカッションによる全編アコースティック・セッションになっております。
キャットフィッシュ・ブルースの(2)を始めロック・ミー・ベイビーの(10)まで、何処かで聴いた事のあるような曲が並んでますが、全体的にゆる~いカントリー・ブルースばかりで、少し繊細な感じがします。今までのT-モデルとはちょっと趣きが違いますね。カントリー・ブルースと言えどもビートがないとちょっとつらい所です。そんな中でもオリジナルの(1)やハウリン・ウルフの(5)、リトル・ウォルターの(7)は、ハードではないけどビート感があって良いと思います。特に(7)の比較的ざっくりリズムを刻んでるギターが好きですね。アコースティックだからこそハードにやったほうがカッコいいと思うな。サン・ハウスみたいに。
今年はもう既に新譜をリリースしてるみたいで、ほんと驚きです。今度はバンド・サウンドでお願いします。

2011年2月12日土曜日

Big Jack Johnson with the Cornlickers / Katrina


『Big Jack Johnson with the Cornlickers / Katrina』 (Big Jack Music)
1. Fourth of July
2. Stop Pushin' On Me
3. Katrina
4. Miss Statue of Liberty
5. Goin' Down to Big Red's
6. The Laughin' Blues
7. Po' Cow Boogie
8. Ain't Gonna Do It No More
9. Red Car
10. The Cryin' Blues
11. Gettin' Old Mister Ellis
12. It's All Gone

ビッグ・ジャック・ジョンソンはジェリー・ロール・キングスのギタリストだったことでも知られているブルースマンですが、そのジェリー・ロール・キングスが再結成されて1997年にファット・ポッサムからアルバムが出たことにより、当時盛り上がってたジョン・スペンサーを始めとするガレージ系のブルース・ロックを聴く人達からも、R.L.バーンサイドやT-モデル・フォード同様にジェリー・ロール・キングスも知られる所となりました。しかし、ビッグ・ジャック・ジョンソンまで認識して深く掘り下げて聴いた人ってどの位いたのだろうか、、、
某DCブランドがデルタブルースなるシャツ等を販売してるのを見るにつけ、あら~ブームなのかなぁと思ったりもしたものですが、しかし、デルタブルースは引退しても、ミシシッピのデルタ・ブルースは脈々と受け継がれ、今も脈々と息づいているのである。

デルタ・ブルースの雄と目される存在だったジェリー・ロール・キングスも、フランク・フロストが亡くなってしまったので二度と再結成される事はないだろうけれど、ビッグ・ジャック・ジョンソンはアルバムもリリースして活躍されておられるようです。
ビッグ・ジャック・ジョンソンのサウンドはジェリー・ロール・キングス張りのジューク・ジョイント・ブルース一辺倒ではなく、シカゴ・ブルースの中でもウェスト・サイド系のモダンなサウンドを内包したものや、カントリー・ブルース、メンフィスもの、時にはジャンプものまでやったりしてますが、どれもがダウンホームで凄くディープなんですね。又、ノベルティものや社会性のあるテーマを取り上げたりするのも特徴ですね。

今回のアルバムはカトリーナ。ニューオーリンズのサウンドでもやってるのかなと思ったら、いやいやいつものミシシッピ産デルタ・ブルース満載のビッグ・ジャック・ジョンソンらしいアルバムになっております。
(1)や(3)辺りはシカゴのウェスト・サイド系を思わせるモダンなデルタ・ブルースで、こういうサウンドを出すのは何もビッグ・ジャック・ジョンソンに限った事ではなく、何年か前、無名ブルースマン達のコンピレーションのライブアルバムを聴いたら、シカゴからB.B.キングっぽいサウンドまで結構モダンで、Regionalなデルタ・ブルースも多様化してるんだなと感じたものです。(3)ではハウリン・ウルフの声をパロって歌う所なんか如何にもです。
(2)(4)では、ジェリー・ロール・キングスのイナタいチープさではなく、どっしりと重心を低くしてがっつりジューク・ジョイントやってます。特に(4)でのギターのリフがめちゃくちゃカッコ良い。メリハリ感のあるGold Lion KT88で聴くと、それはそれは最高に痺れますね。
(2)や(5)辺りのサム・カーを思わせるドラミングも、ジューク・ジョイント・ブルースらしいエグさがあっていいですね。
(6)の「笑うブルース」はノリノリのデルタ・スタイルで、ただひたすら笑ってるだけ。アルバム・タイトルがカトリーナだけに、これをノベルティと捉えていいのだろうか。片や(10)の「泣くブルース」はカントリータッチのスローで、泣きながら何か言ってる。もう自分にはノベルティとしか思えないんだけど、現地の人にしか分らない独特の感受性があるのだろう。
メリハリの効いたシャッフル(8)(9)も好きだな。(9)なんかもザック、ザックしたリズムながら何処となくフレディ・キングを思い出すサウンド、(11)でもテキサス風味のあるビッグ・ジャック・ジョンソンのギターも結構カッコいい。

色んな趣向を凝らし面白くもありカッコ良くもある、なかなか良く出来たアルバムだと思うのですけれど、ビッグ・ジャック・ジョンソン程のブルースマンでも自主制作しないといけないのが、発祥の国アメリカでもこれが現実なのでしょうか。でも逆手に考えると大手レコード会社が絡んでないからこそ、Real Dealなブルースが聴けるってものでしょう。

2011年2月9日水曜日

Hollywood Blue Flames / Deep In America


『Hollywood Blue Flames / Deep In America』 (Delta Groove DGPCD 136)
1. Nit Wit
2. Rambler & A Rollin' Stone
3. Crescent City Rock
4. My National Enquirer Baby
5. Music Man
6. Leavin' California
7. Jalopy To Drive (aka Sonny Boy’s Jump)
8. Bad Boy Blues
9. I Don't Care
10. Rocky Mountain Blues
11. Hip-Hoppin' Toad
12. Hushpuppy
13. Fly Like The Eagle, Cry Like The Dove
14. He's A Blues Man

『Hollywood Fats Band / Larger Than Life, Vol.2』
1. She's Dynamite
2. Blue And Lonesome
3. Hide Away
4. Kansas City
5. Half Steppin’
6. Read About My Baby
7. Nit Wit
8. Blues After Hours
9. Jumpin' With Duncan
10. Lonesome
11. Shake Your Boogie
12. Baby, Let's Play House

Al Blake - vocals & harmonica
Fred Kaplan - piano
Larry Taylor - bass
Junior Watson - guitar
Kirk Fletcher - guitar
Richard Innes - drums
Michael “Hollywood Fats” Mann - vocals & guitar


ハリウッド・ブルー・フレイムスを語る上で避けて通れぬのがマイケル”ハリウッド・ファッツ”マンの存在なのですが、ハリウッド・ファッツを知った時はもう既に亡くなってしまった後で、アルバム探しても見つからないし、そりゃもう伝説的なギタリストという感じでした。
唯一のオリジナル・アルバムが「Complete 1978 Studio Recordings」という形で、2002年にドイツのレーベルCrosscutから発売された時は、本当に大喜びで購入しました。
ヨーロッパではブルースは未だ根強い人気があるようで、良質のブルースを見極める力を持ってるような気がしてなりません。古い音源とかも本当ならばアメリカがやって然るべき所をヨーロッパが代わりにコツコツやってる。やはり伝統を重んじる風土という所があるのでしょうか。

話が横道にそれてしまったが、ハリウッド・ファッツ名義のオリジナル・アルバムは一枚しか残されていないけれど、WATTSTAXのアルバート・キングを始め、ジョン・リー・フッカー、ウィリアム・クラーク、スモーキー・ウィルソン、ジェイムス・ハーマン、ロッド・ピアッツァなどのレコーディングに参加し、セッション・ギタリストとしての方が目覚しい活躍をしている。作曲が出来なかったという痛い側面があるので致し方ないが、ギタリストとしては天才的だろうと思う。
ところが、1986年に32歳の若さで亡くなってしまったのでハリウッド・ファッツ・バンドは解散してしまいました。残されたメンバーはウェストコーストの若手ギタリスト、カーク・フレッチャーを従えてハリウッド・ブルー・フレイムスを結成。2005年に1stアルバムをリリースした訳ですが、今回のアルバムは通算3作目となります。

前作同様、ハリウッド・ブルー・フレイムスの新録とハリウッド・ファッツ・バンドの未発表ライブをカップリングした2枚組で、ライブ盤の方はオマケ扱い。こんな豪華盤なのに値段は1枚分、凄くお徳なアルバムだ。ハリウッド・ファッツ・バンドのライブは単独で販売しても十分商品価値があるのに、その辺Delta Grooveの心意気に敬服してしまうところだな。
さて、今回のアルバム最も注目すべき点は、前作ではゲスト参加だったジュニア・ワトソンがレギュラー・メンバーとして参加してる事ですね。カーク・フレッチャーも何曲か参加はしてますが、ソロ活動のほうが忙しいのでしょうか。エネルギッシュで如何様にも弾きこなせるカーク・フレッチャーの存在というのは大きく捨て難い所ですが、今回はアルバムタイトルからも連想される通り、ディープさを出したかったような気がします。実際、録音状態も60年代を意識したようなマッタリ感があるもので、こうなってくるとベテラン職人ジュニア・ワトソンの味わい深い燻銀ギターが適任かなという感じですね。

冒頭からスウィング感たっぷりのこの曲は、ハリウッド・ファッツ・バンド時代からやってる曲で、1stアルバムではカーク・フレッチャーでしたが、今回はジュニア・ワトソン。音数は少ないけれどスウィンギー、ファットなトーンで引っ掛けぎみに弾く。ジュニア・ワトソンらしくて渋いところなんですね。
次の曲はアル・ブレイク・ファンにはもうお馴染みの曲ですね。ゆる~いスローブルースでこのまったりとしたサウンドは本当にたまらんです。特にアル・ブレイクのハーモニカ。技巧を駆使してではなくて、雰囲気というかハートで吹くという感じのハーモニカで、ジュニア・ワトソンのギターもそうですが、本当に痺れました。
ノリノリのピアノ・インスト曲(3)、アル・ブレイクのアコギとハーモニカによるカントリー・ブルースの(5)や(11)、ピアノ・ソロの(12)まで飛び出して、今までにないバラエティに富んだ楽曲が目白押しで、ゆったりとした雰囲気を楽しめました。

一方、ハリウッド・ファッツ・バンドのライブはこれも前作同様、79年と80年に収録された音源で、ちょうどアルバムをリリースした時期にあたり、79年が(6)(7)(8)、後は80年の録音となります。79年はアルバムと同様にスウィンギーでジャンピーなサウンドなのですが、80年になると今のフレイムスにまで通ずるようなトラディショナルな曲やジャジーな曲もやっており、転換期に差し掛かってたのかなという気がしないでもないです。
そんな中でも「Hide Away」や「Kansas City」が聴けるのは楽しいし、ジャジーなブルース(8)ではT-ボーン・ウォーカーばりのギターが堪能できるのも良い。そして、フレイムスの本編でも演奏してる(7)を始め、後半のジャンピーなサウンドはやっぱ痺れるね。

2011年2月5日土曜日

Big James and the Chicago Playboys / Right Here Right Now


『Big James and the Chicago Playboys / Right Here Right Now』 (Blind Pig BPCD 5131)
4. On the Grind
5. Expect the Best
8. The Goose
9. Help (Somebody Please)
11. Worry

Big James - lead vocals, trombone
Charlie Kimble - saxophone
Kenny Anderson - trumpet
Joe Blocker - keyboards
Mike Wheeler - guitar, vocals
Larry Williams - bass
Cleo Cole - drums

ビッグ・ジェイムズ・モンゴメリーはシカゴで活躍しているトロンボーン奏者兼ボーカリストですが、以前はリトル・ミルトンやアルバート・キング、シガゴではバディ・ガイなどのバンドに参加しており、その過程でサックス奏者のCharlie Kimble等と共にシカゴ・プレイボーイズを結成。ボーカルも担当するようになったみたいです。1999年と2000年にはオーティス・ラッシュのバック・バンドとして来日してるようですね。

ブルースはもとよりソウル、R&Bを基調としたブルース・バンドなのですが、ブルースでのメインとなる楽器と言えばギターやハーモニカ、あとピアノくらいと大体の相場は決まっておりますが、このバンドはホーン・セクションを前面に押し出したファンキーなサウンドが特徴で、シガゴ界隈でも稀?でユニークなブルース・バンドなんですね。

Blind Pigからリリースされた今回のアルバムがデビュー作か思いきや、98年の「Funkin' Blues」というのがデビュー作のようです。いやはや全く知らなくて、今回ので5作目となるみたいです。

最初にブルースバンドと紹介しましたが、それは間違いではないのでしょうけれど、このアルバムを単に聴く限りでは、ブルースと呼べる曲は(6)と(11)しかやってなくて、特に(1)や(3)辺りを聴くとこれはもう完璧にソウル・R&Bバンドという感じですね。それにビッグ・ジェイムズの声質といい歌い方といい、オーティス・クレイを彷彿とさせるもので、バンド・サウンドのみならずビッグ・ジェイムズのボーカルも聴き所の一つとなっております。

(2)ではニューオーリンズのジャム・ファンク・バンド的なファンキーなサウンドを取り入れてまして、デビュー当時のビッグ・サムズ・ファンキー・ネイションを思わせ、と言ってもビッグ・ジェイムズの方が歴史は古いのですが、最近のビッグ・サムズはハード・ロック的なメタル系ファンクになってきて、今の自分にはちょっときついサウンド。その点ビッグ・ジェイムズはニューオーリンズのブイブイではなく、R&B的なノリで、こちらのほうがちょうど良い感じです。

(8)はなんとジョージ・クリントン率いるパーラメントの曲だ。ブルースのアルバムでパーラメントの曲が聴けるとは正直思いませんでしたね。元々が凄くクセ者グルーヴなのですが、それを上手くR&Bにアレンジしてると思います。ホーンの緩さとタメの効いたゆるゆるのリズムが本当にたまらんですね。最高です。

オージェイズの(9)。こういうスローのソウル・ナンバーって歌が上手くないと詰まらないのですが、コーラスも含め良い雰囲気で歌ってます。ギターも泣きのフレーズを上手く表現して盛り立てており、結構聴き入ってしまいました。

ブルース・ナンバーではアルバート・キング風のシャッフル(6)、シカゴ・ブルースの(11)、共に順当だなという感じ。ホーンが三連やったりとギターとの絡みも面白い。どうせならば、ホーンとギターでコール&レスポンスなんてやったらもっと面白かったかな。ホーンが前にバーンと出てきたり、ギターが出てきたり、その辺メリハリが効いてて楽しいサウンドですね。いずれにしても面白いバンドだ。

2011年2月3日木曜日

Johnnie Bassett / The Gentleman Is Back


『Johnnie Bassett / The Gentleman Is Back』 (Sly Dog SLY 3003)
1. A Woman's Got Ways
2. Keep Your Hands Off My Baby
3. Nice Guys Finish Last
4. Georgia
5. Your Real Gitchieegumee
6. Feeling Lucky
7. Meat On Them Bones
8. I'm Lost
9. I Can't See What I Saw In You
10. I Love The Way You Look
11. My Old Flame


ジョニー・バセットは1935年フロリダ州マリアーナ生まれで、44年には家族と共にデトロイトに移住してます。50年代後半に米国陸軍に在籍してますが、現在に至るまでずっとデトロイトで活動し続けてるブルースマンです。
ジョニー・バセットの父親は禁酒令中に密造をやってたそうで、ちょっとマディを思い出して面白かったのだが、教会に連れられてゴスペル霊歌を聴かされる等、音楽好きの家族に囲まれてたようです。そんな中、Tampa RedやArthur 'Big Boy' Crudup、Lonnie Johnson等のブルースマンに触れ、ブルースにのめり込んで行く訳ですが、本人曰く彼等は父親の友人だったそうである。商売柄いろんな人が集まって来たであろうし、いろんなブルースマンを間近で見れる環境で育つというのは、今の日本に住んでる者としては想像を絶する所で、そういう方々が未だにブルースをやってる。ブルースという音楽は決して過去のものではないと、本当に感嘆とさせられますね。

ジョニー・バセットは姉(妹)から譲り受けたギターで練習を始めるのですが、その後、兄からエレキギターとアンプを買って貰ってます。当時から相当の腕前だったのでしょうね。
ジョニーのギターはジャズテイスト溢れるもので、ロニー・ジョンソン~T-ボーン・ウォーカー~B.B.キングというスタイルの流れがあるが、ジョニーのギターもその流れを汲むスタイルで、スクィーズしないB.B.キングとも言えるし、T-ボーン・ウォーカーからの影響も感じられます。そう言えば、T-ボーン・ウォーカーの写真で良く見かけるギブソンのSGみたいなダブルカッタウェイのフルアコ。あれと同じギターをジョニー・バセットもよく使ってるんですよ。あんなレアなギターを好んで使うというのは、ただの偶然じゃないよね。

ジョニー・バセットのサウンドはアーバン・ブルースやジャズ・ブルース、ジャンプ・ブルースという感じで、過去から現在に至るまで基本的に一貫しています。そのなかでも94年のライブアルバム「Live at the Montreux - Detroit Jazz Festival」やそれ以前の「The Heid - Bassett Blues Insurgents」辺りのサウンドが特に好きで、この頃はジャズキーボード奏者のビル・ヘイドと組んでまして、作曲等も殆どビル・ヘイドが担当してたのですが、この二人が組む事で、灰汁の強いイナタいグルーヴが独特のフィーリングを醸し出してました。

それ以降はThe Brothers GrooveのChris CodishやThe Motor City HornsのKeith Kaminski等とずっと一緒に活動してるようです。ウィリー・ミッチェルが絡んでる代表作「Cadillac Blues」というのもありますが、今回のアルバムはこの二人よって作曲からアレンジ、プロデュースに至るまでおんぶに抱っこで製作されてます。メジャーからのリリースということもあって、彼等の集大成的なアルバムかなという気がします。

ジャズやらソウルを絡めたアーバンなブルースというのはこれまで通りで、ジャンプ・ブルースの(2)、アルバート・キングを彷彿とさせるファンキー・ブルースの(6)、ブルーズン・ソウルの(8)、ジャジーでスウィンギーな(10)など良い曲はあるのだけれど、全体的にサウンドが平坦で平凡な作風になってしまったような感じがするなぁ。小洒落た雰囲気を出したかったのかなという気もする。
メロウなトーンで流暢に弾くジャジーなギターにはやっぱ痺れるね。(6)ではアルバート・キング節も聴けたし、ジョニー・バセットのソウルフルなボーカルも結構渋い。
やはりあれだね、ビル・ヘイドと組んでた時のあの灰汁の強い独特のグルーヴ感が最高なんだけれどな。

2011年2月1日火曜日

Arthur Adams / Stomp The Floor


『Arthur Adams / Stomp The Floor』 (Delta Groove DGPCD 135)
1. Stomp The Floor
2. You Can't Win For Losing
3. Don't Let The Door Hit You
4. I Know What You Mean
5. So Sweet
6. You Got That Right
7. Callin' Heaven
8. Nature Of The Beast
9. Thrive On Your Vibe
10. You Are Invited
11. Around The Sun
12. Blue Roots

Arthur Adams - vocals & guitar
Hense Powell - keyboards
Reggie McBride - bass (1, 4, 5, 6, 7, 9, 10, 11)
Lou Castro - bass (2, 3, 8, 12)
James Gadson - drums
Stacy-Lamont-Sydnor - percussion (1, 5, 7)
David Leich - percussion (4, 6, 9)
Lee Thornberg - trumpet (2, 3)
Dave Woodford - saxophone (2, 3)
Garrett Adkins - trombone (2, 3)


アーサー・アダムスはウェストコーストのブルース・R&Bのギタリストで、一般的には、クインシー・ジョーンズやクルセーダーズ等にも参加しておりましたし、デヴィッド・T・ウォーカーやラリー・カールトン等と並び称えられたソウル・ジャズ系のギタリストというイメージでしょうか。その辺りの音楽は殆ど聴いてないので、そういうイメージが全く湧かない。

ブルースバカの自分には、ローウェル・フルスンの「Tramp」や「Now!」に参加してたギタリストというイメージのほうが遥かに強い。しかし、「Tramp」や「Now!」にアーサー・アダムスが参加してた事は知ってはいても、アーサー・アダムスを意識して聴いた事はないのです。過去、ソロ・アルバムも何枚かリリースされてるようですが(あらBlind Pigからもありますね)、それらも聴いてない。要するに全く知らない人と言ってもいい位なんですね。

じゃ、なぜ今回アーサー・アダムスの新作を購入したかと申しましと、それはDelta Grooveというレーベルからリリースされたからなんですね。好きなレーベルを追い掛けて聴くというのは、今回みたいに思わぬ出会いがあります。こういう聴き方も面白いと思ってます。

そのDelta Grooveからのリリースという事もあって、サウンドはフルスン系とまではいかなくても、当然ウェストコースト・ブルースだろうと思って意気込んで聴いたら、実はコンテンポラリーなソウルやR&B、ジャズ、フュージョンといった類のサウンドだったので思いっきり肩透かしを食らってしまった。ご存知の方にとってはごくごく順当なサウンドなのであろう。全く以て認識不足であった。

このアルバムの大局的なサウンド・カラーであるソウルフルなフュージョンというのは、今も全く聴かないのですが、聴き進めて行く内に、なんと清清しくて心地よいサウンドなのだろうと。優れた音楽はカテゴリーに関係なく聴かれるべきであって、音楽を聴くにはやはり柔軟な感受性が必要であろうと改めて痛感した次第だ。

アーサー・アダムスの持ち味の一つはギター・サウンドであろうかと思いますが、何曲かあるギター・インストの内、特に好きなのは(12)で、ここで聴かれるギターは、ブルースでもありジャズ・ファンクでもあり、フュージョンでもある。このボーダーレス的サウンドは結構魅力だ。この曲は緩めの300Bではなく、もう少しスピード感があり、当然中低音は必要だが、少しメリハリの効いたタイトな音が出る真空管のほうがカッコ良く聴けると思う。

ボーカルはブルース・シンガーと言うよりも、ソウル・シンガーと言う感じで、(4)や(7)などのソウル・ナンバーでは、ファルセット気味の声でメロウに歌ってます。ボビー・ウーマックを感じさせる所も多々ありますね。自分はリトル・ミルトンを思わせるブルーズン・ソウル(2)での比較的ブルージーな歌い口がやはり好きだ。黒人特有の黒さはあまり感じられないが、軽過ぎず重過ぎずでサウンドとのバランスも取れてて耳通りも良い。
アーサー・アダムスはB.B. King's Blues Clubのバンマスをされてるそうですが、(3)を聴くとなるほど納得です。これはトリビュート曲なのでしょうか。歌い方といいギターのフレーズといい、モロB.B. Kingのそれで、B.B. Kingサウンドを出すのはお手の物なのでしょうね。ちなみにラスベガスのクラブのバンマスだそうです。