2010年11月29日月曜日

The Insomniacs / At Least I'm Not With You


『The Insomniacs / At Least I'm Not With You』 (Delta Groove DGPCD130)
1. Lonesome
2. Broke And Lonely
3. Directly From My Heart To You
4. Maybe Sometime Later
5. At Least I’m Not With You
6. Root Beer Float
7. Hoodoo Man Blues
8. She Can Talk
9. Baby Don’t Do It
10. Angry Surfer
11. Description Blues
12. 20/20
13. Insomniacs Boogie

The Insomniacs:
Vyasa Dodson - vocals & guitar
Dean Mueller - bass
Alex Shakeri - piano & Hammond B-3
Dave Melyan - drums

Special Guests:
Al Blake - harmonica (1)
Mitch Kashmar - harmonica (7)
Joel Paterson - Pedal Steel Guitar (2)
Jeff Turmes - Tenor Sax (3, 5, 9, 13) Baritone Sax (3)




相変わらずこのバンド名を何と読むのか分からないんだな。
ジ・インサムニアックスでいいのかな?
不眠症患者という意味なんですが、演奏がカッコ良過ぎで眠れないのか、はたまた雑音だからてんで眠れないのか、それは聴く人次第で、、、、、結局不眠症になるのか。

それはさて置き、このバンド、ウエスト・コースト近辺の若手ブルース・バンドの中ではピカイチの実力派だと個人的には思ってんだけれど、日本では全く紹介されずだ。
このアルバムはビルボードのブルース・チャートで14位にまで上ったし、アメリカでは良く聴かれてるんだけどな。

今回のアルバムで通算2作目のリリースとなります。
前作のジャケットは余りにも奇抜なデザインでドン引き、買うのを躊躇ったほどだったが、内容はジャンピーなロッキン・ブルースでゴキゲンなサウンドでした。
今回はジャケがカッコよくなってまずは良かった。サウンドは前作同様の路線で、ジャンプ・ブルースやブギがあり、R&Bあり、トラディショナルなブルースありだ。少々ソリッドなサウンドになったような気がするが、これはギターの音色の影響かな。

まず、1曲目はメンフィス・スリムの曲だが、これはハリウッド・ファッツのバージョンをカヴァーしたもの。若手にもハリウッド・ファッツの影響力は絶大だな。この曲にアル・ブレイクがハーモニカで参加してるのも感慨深いものがある。軽快なノリの良い曲ですが、ナチュラル・トーンのハープが妙に染み入るな。

2曲目はジョニー・オーティス&ジョニー”ギター”ワトソンの曲だね。ジョニー・ウィンターに比べれば、かなりイナタいサウンドだよ。エグいサウンドにしないで自分等のサウンドを崩さないのはお若いのにと思ってしまう。ソリッドで若干歪み系のギターも結構カッコよい。

(3)はリトル・リチャードの曲。フェントン・ロビンソンがやってたが、あれと比較するとかなり分が悪いね。特に歌が、、、、、比較するのは可愛そうだろですが、でもなかなか頑張ってるほう。ウォームなトーンで弾くギターは結構上手い。

カヴァー曲では他に名曲の(7)、ここではゲストのミッチ・カシュマーがハーモニカを吹いてます。ウィリアム・クラークの愛弟子ですが、現在のウエスト・コースト界隈では1、2を争う名ハーピスト。この人のアンプリファイド・ハープはやっぱ絶品だ。
(9)は5ロイヤルズのR&Bナンバー、(11)はT-ボーン・ウォーカーの曲のようですが、大分アレンジされてます。しっとりとした雰囲気のいいスローブルースで、間合いといいタメといいなかなか艶っぽいギターに、ブルージーなハモンドB-3のサウンド。結構好きです。

オリジナルもカヴァーした名曲に負けず劣らず上出来の曲が多く、シャッフルのインスト・ナンバー(6)、ここではよく転がるピアノが上手いね。思いっきりハードにロッキン・ブルースしてる(8)や(10)も結構カッコいい。ギターも然ることながら跳ねまくるピアノの存在は大きい。最後はそのピアノをメインにしたブギ・ナンバーと言いたいところで、もうちょっとピアノが聴きたい気分だったが、やはり、このバンドはボーカリスト兼ギタリストでコンポーザーのVyasa Dodsonのバンドのようだ。

2010年11月26日金曜日

Eric Lindell / Gulf Coast Highway


『Eric Lindell / Gulf Coast Highway』 (Alligator ALCD 4918)
1. If Love Can't Find A Way
2. Willin' And Able
3. Love And Compassion
4. This Love Is Gonna Last
5. Turnin' It Out
6. It's A Drag
7. Lullaby For Mercy Ann
8. The Look
9. I Can Get Off On You
10. Country Livin'
11. Dirty Bird
12. I'll Be Around
13. Here Comes The Blues Again
14. Crying Time
15. Raw Doggin'

Eric Lindell - vocals, electric rhythm/slide/lead guitar
Sean Carey - harmonica, backing vocals
Marc Adams - hammond b-3 organ
Chris Mule - acoustic resonator guitar
Jimmy Carpenter - tenor sax
Derek Huston - tenor/baritone sax
Aaron Wilkinson - bass
Chris Dejohn - drums, soul claps, shaker
Stanton Moore - drums
Sheila Sander - backing vocals
Tana Doughty - backing vocals




自主制作されたエリック・リンデルのアルバムの中でも、特にファースト・アルバムはそれこそ擦り切れるほどよく聴いたな。
隙間だらけでまったりとしたあのサウンドに戻る事は、もうないんだろうなと思いつつアリゲーター盤を聴いてると、無性にファースト・アルバムが聴きたくなって、ラックから取り出しては聴き入ってしまう。

だからと言ってアリゲーター盤がつまんないということは決してない。クリエーターである限り先に進まないといけないだろうけれど、エリック・リンデルの音楽性は何一つ変わってない。そこんところがいいんだな。

アリゲーターからは今回のアルバムを含め3枚のアルバムをリリースしたが、気合が入り過ぎてオーバー・プロデュース気味だった一枚目を自ら省みたのか、2枚目、3枚目では悠然とした感じで自主制作の頃のサウンドに前進したような気もする。自分の耳が順応したのかもしれないが、3枚の中では今回のアルバムが一番好きで一番よく聴いたかも。

全体的にキャッチーな曲が多く、ポップでファンキー。
ファンキーの要はスタントン・ムーアのドラミングで、2曲目なんか正しくポップ&ファンキー。バンドアンサンブル、リズムの間合い、とってもカッコいいね。

一曲目はエリック・リンデルの持ち味が良く出てるスワンプ・ホップで、ほんわかとしたポップなサウンドとエリックの何処となく寂しげなボーカル。このバランス感覚がエリックらしい。絶妙なタイミングで入ってくるハーモニカの音色も素朴で心地よい。
3曲目もキャッチーなメロディーを持つスワンプ・ポップ。この辺りの曲作りの上手さは際立ってるね。結構、お気に入りです。

(4)や(8)、(12)あたりはどちらかと言うとサザン・ロック系のサウンドだが、兎に角スタントン・ムーアのドラミングが凄くて、この人が叩くと俄然ファンキー度がアップする。流石にニューオーリンズのドラマーだけあってリズムが半端ない。どの曲もカッコいい。

YouTubeの曲の(5)や(7)も結構いい曲でしょう。(7)はアルバムではスタントン・ムーアがドラム叩いてるが、ドラムロールが印象的です。

デルバート・マクリントンの(13)はスワンピーなカントリー・ロック調の曲で、ほのぼのとした感じがたまらんのです。スワンピーなハーモニカもいい味出してるな。

最後はジャム・ファンクのインスト・チューンで〆だ。出だしのメインはハモンドB-3で、ジョー・クラウンのオルガン・コンボを彷彿とさせて、めちゃカッコいいよ。