2010年12月31日金曜日

Carlos Johnson / Encore! Live at B.L.U.E.S. on Halsted



『Carlos Johnson / Encore! Live at B.L.U.E.S. on Halsted』 (P-Vine PCD-25092)
1. Hey Pretty Baby
2. Real Mother For Ya
3. Ain't Nobody's Business
4. Jimmy Reed Medley
    You Don't Have To Go
    Bright Lights, Big City
    Going To New York
5. Don't Ever Leave Me
6. Mercy, Mercy, Mercy
7. Bluesman
8. Key To The Highway

2007年にリリースされた「Live at B.L.U.E.S. on Halsted」の続編というか、前作の収録からあぶれた曲が収められてる訳ですが、曲や演奏共に見劣りするものではないですね。

一曲目は記念すべき1stアルバム「My Name Is Carlos Johnson」の冒頭を飾った曲。この1stアルバムを入手するのに、やきもきし諦めもしやっと手に入れたという懐かしいことを思い出しました。元々、シャッフルっぽい楽調の曲ですが、このライブではテンポの早いスウィンギー調にアレンジされてます。ファットなトーンとジャジーでスウィンギーなコード・カッティングは自分好みなのですが、思い入れもあるのかシャッフルのほうがカッコいいように思います。

(2)はジョニー・ギター・ワトソン作で、ファンキー度満点のカッコいい一曲。スクイーズにしばしば耳が行きがちだが、何気ないカッティングにゾクッと痺れる。

そして、ジミー・ウィザースプーンの名曲(3)。この曲も1stに収録されておったが、エモーショナルなギターに更に磨きが掛かって、このライブのほうが断然よろしいですね。
カルロス・ジョンソンはアルバート・キングやオーティス・ラッシュと同様に、右用のギターをそのまま左の持ち替えて弾いております。チョーキングは通常持ち上げるのですが、彼の場合は引き下げる事になります。これが独特のフレーズを生み、何とも言えない鳴き(泣き)のギターになるんですね。

(4)や(7)もお得意のシャッフル・ナンバー。(7)は1stアルバムでは「My Name Is Carlos Johnson」というタイトルで収録されておった曲ですね。8ビートのブギ、このノリはやっぱ最高にカッコいいですわ。

キャノンボール・アダレイで有名な(6)。ジャズ・ファンクちゅう感じですが、こういうジャズ・ナンバーもさらっとやってのけるのもカルロスらしいところ。
最後はジャズ・ジラム作のブルース定番曲。エモーショナルな歌とギター、思わず唸ってしまいました。




カルロスはこのギブソンの335を長年愛用してるようですが、余程のお気に入りのギターなのでしょうね。太くていい音がしますよ。

2010年12月30日木曜日

Glen David Andrews / Walking Through Heaven's Gate



『Glen David Andrews / Walking Through Heaven's Gate』 (Threadhead Records)
1. Opening Prayer - Reverend Joshua
2. Down By The Riverside
3. Jesus On The Main Line
4. Just A Closer Walk With Thee
5. (Song Intro)
6. Rock Of Ages
7. Walking Through Heaven's Gate
8. I'll Fly Away
9. Battle Hymn Of The Republic
10. We Shall Walk Through The Streets Of The City
11. Family/Lift Every Voice And Sing/Somebody Prayed For Me

Reverend Joshua - Pastor
Charisse Mason - Choir Director, b3 organ, electric piano
Matt Clark - electric guitar, banjo
Paul "Andrews" Sanchez - acoustic guitar
Julian Gosin - trumpet
Glen Andrews - trumpet
Revert "Peanut" Andrews - trombone
John L. Reynolds - bass
Eugene Harding - drums
Chuck Perkins - Master of Ceremonies/spoken word
Troy Andrews - trumpet (10)
John Boutte - vocals (9)

2008年11月18日、ニューオーリンズのトレメ地区に在るザイオン・ヒルというパブティスト教会で、グレン・デイヴィッド・アンドリュースのゴスペル・ライブが行われた。
グレン・デイヴィッドはジェイムズとトロイのアンドリュース兄弟とはいとこだそうで、若きトロンボーン奏者でシンガーでもあります。



このメイキングを観ると、ザイオン・ヒルは比較的小さな教会のようで、クワイアも入れて総勢20数名の出演者は所狭しと演奏し、ミサに来ましたという感じの観客。その間の距離感というのをあまり感じさせなくて、なんともアットホームな感じが羨ましいというか、自分もそこに参加したいとつくづく思います。

収録曲はトラディショナルな曲を中心に演奏されてるので、ゴスペルがあまり詳しくない自分でも知ってる曲が多く、サウンドはニューオーリンズR&Bで、ドラムはドッコンドッコン、ベースはブンブン。ブルージーなギターに、まったりとしたホーン、クワイアも含め、全体的に素朴で荒削りな演奏はとてもイナタくて、めちゃくちゃ好きです。



悠然としたグレン・デイヴィッドのトロンボーン、それに絡むマンドリン、たまらんです。穏やかなクワイア、女性歌手とグレン・デイヴィッドの迫力の歌。リズムはドットドットとゆったりと進む。最高ですね。


この曲はグレン・デイヴィッドとポール・サンチェスの共作によるアルバムタイトル曲。
グレン・デイヴィッドの歌をまじまじと聴いたのは今回のアルバムが初めてなのですが、なかなか上手いし腹の底から出てる感じの迫力の歌声で、結構気に入りました。


トロンボーン・ショーティことトロイ・アンドリュースがトランペットでの参加。オーバーブロウが凄いね。

(9)ではジョン・ブッテが登場。しっとりとした雰囲気のB3オルガンを従えて、ジョン・ブッテが歌う。オルガンの音色も寂寞とした雰囲気があってしんみりと聴かせてくれます。後半バンドが入り、グレン・デイヴィッドの歌も乱入して大盛り上がりします。何度も聴いた曲だけれどもやっぱり痺れるね。
他にもいい曲ばかりで、I'll Fly Awayも好きですね。このノリいいな。兎に角、オープニングのPrayerから最後のメドレーまで全曲最高に素晴らしいです。シン~ガ~ソング♪って一緒に合唱したいよ。

2010年12月20日月曜日

Delta Groove All-Star Blues Revue / Live At Ground Zero


『Live At Ground Zero Vol. 1』 (Delta Groove DGPCD 131)
1. Los Fabulocos - I'm Gonna Be A Wheel Someday
2. The Insomniacs - At Least I'm Not With You
3. The Mannish Boys featuring Johnny Dyer - Everything's Gonna Be Alright
4. Philip Walker - Street Walking Woman
5. The Mannish Boys featuring Finis Tasby - Lonesome Bedroom Blues
6. The Insomniacs - Description Blues
7. Junior Watson - Wolf Pack
8. The Mannish Boys featuring Kirk "Eli" Fletcher - Lucille
9. Jackie Payne Steve Edmonson Band - She's Nineteen Years Old
10. Mike Zito - Dirty Blonde
11. Jason Ricci & New Blood - Shake Your Hips


『Live At Ground Zero Vol. 2』 (Delta Groove DGPCD 132)
1. The Insomniacs - Stick Around
2. Jackie Payne Steve Edmonson Band - Overnight Sensation
3. Jason Ricci & New Blood - I'm A New Man
4. The Mannish Boys featuring Kid Ramos - Johnny Cochino
5. The Mannish Boys featuring Bobby Jones - Mary Jane
6. The Insomniacs - Broke And Lonely
7. Los Fabulocos - If You Know
8. Mike Zito - Slow It Down
9. Phillip Walker - Lay You Down
10. Los Fabulocos featuring Kid Ramos - Burnin' The Chicken

2008年5月9日、ミシシッピのクラークスディルにあるブルース・クラブ「グランド・ゼロ」で、デルタ・グルーヴ・プロダクションの年一回のライブが開催された。

デルタ・グルーヴ・プロダクションは米国西海岸に本拠地を置いてるレーベルだが、個人的には新興レーベルとしては、テキサスのダイアルトーンと並んで最も信頼の置けるレーベルの一つだ。

このレーベルのポリシーは、トラディショナル、ハウス・ロッキン、ダウンホーム、ロウ・ダウン、リアルである事で、そして、何よりも大切なのは、どんなバンドでもしっかりとしたルーツを持ってる事らしい。正に有言実行のレーベルで、彼等のサウンドを象徴してるのが、マニッシュ・ボーイズというバンドだが、納得させられるだけの説得力あるサウンドを放ってるのは確か。ウエストコースト・ブルースファンには避けては通れぬレーベルだ。

トラディショナルを踏まえながらも、現在進行形のサウンドを聴かせてくれるこのレーベルの若手からベテランまで、一堂に会し繰り広げられたライブが"Delta Groove All-Star Blues Revue"である。それは12時間にも及ぶものだったらしいが、もう夜通しという感じだったんだろうね。グランド・ゼロ・ブルース・クラブというロケーションも最高だな。


まずはマニッシュ・ボーイズを見て頂きましたが、本当はグランド・ゼロのライブ映像が在れば良かったのだけれど、残念ながらアップロードされてなかったので別のライブ映像になってしまいました。だけど、バンドの雰囲気やら持ち味は十分出てますね。
ここでは、Bobby Jonesが歌ってますが、他にもJohnny DyerとFinis Tasbyがボーカルを担当してます。



ギター・インストではKirk "Eli" FletcherがやったりKid Ramosがやったりしてますが、それぞれ個性的なのでその辺りを踏まえて聴くのも面白い



こういう演奏を延々とやってるんでしょうね、たまらんな。
デルタ・グルーヴの一つのコミュニティ的なバンドになってまして、次には誰が加入して来るのか、ゲストはとか、その辺りも結構楽しみなバンドで、ルーツがしっかりとしておりますので誰が入ってもブレない所が良さでしょうね。

さて、若手ではやはりThe Insomniacsがいいね。このバンドは先日ご紹介致しましたので飛ばしていきますが、スロー・ブルースのVol.1の(6)やロッキン・ブルースのVol.2の(1)など、なかなかいい感じ。

次は、Jason Ricci。デルタ・グルーヴの中でもロック系のEclecto Grooveからアルバムを出してるバンド。自分にはちょっとうるさいサウンドなので今まで聴いてなかったが、いいハープ吹きだと言う事は知ってます。
このアルバムでは、Vol.2の(3)が良い。ちょっぴりレイドバックしたサザン・ロック調で、なんかエリック・リンデルを思い出しそうなサウンドだな。ハーモニカも生ハープとアンプリファイドと吹き分け、何ともゾクっとくる音色を放っております。



このライブ映像では、ルー・リードの「Walk on the Wild Side」とのメドレーがとってもおシャレじゃないですか。
スリム・ハーポのVol.1の(11)では、ザディコ調のロッキン・ブルースで、軽く歪んだアンプリファイド・ハープ、ノリ、勢い、ガツンとくる迫力があって良いですね。
ロック系の人だけれども、根っこにはブルースを感じさせられます。この選曲はデルタ・グルーヴ側の配慮があったのかな。

ベテラン勢では、Jackie Payneもなかなかいい歌い手なのですが、ちょっと長くなってしまったので飛び抜かして、本命のフィリップ・ウォーカーを。
このアルバムを通して一番良かったのは、このフィリップ・ウォーカーです。ただ単に自分が好きだからなのですが、硬質でキレのあるギターでバキバキ引き倒す様は、やはりテキサスのギタリストという感じだ。



畏まったフィリップ・ウォーカーではなく、地のフィリップ・ウォーカーが見れたという感じのライブ映像。正に今が旬と思える程の迫力で凄まじいね。ほんと、惜しいです。
追悼盤としてフィリップ・ウォーカーのLive At Ground Zeroを、CDとDVDでリリースしてくれないかなとデルタ・グルーヴさんには期待してたんですが、今の所その気配はないようです。今からでも遅くない、どうか一つお願いしたいですね。

2010年12月14日火曜日

Genalex Gold Lion KT66

真空管アンプのキットを自作して半年以上経ちましたが、何のトラブルもなく快適に真空管サウンドを満喫しております。自分で言うのもなんですが初めて作ったにしては上出来以上の出来栄えで、サウンドも含め非常に満足してます。

作製したアンプはエレキットから昨年限定発売されたTU-8300というアンプで、300B シングルステレオパワーアンプなのですが、5 極管の3結も可能というスグレモノ。300Bを初め、KT88、6550、KT66、6L6GC、EL34等を改造しなくても挿し替えられるのです。真空管を替えてそれぞれの音を楽しむという、真空管アンプの持つ面白さの一つを十二分に堪能できる訳です。

作製に当たっては出来る範囲で部品も交換しました。抵抗はタクマンのREYオーディオ用金属皮膜、カップリング・コンデンサーは東一のVitamin-Q オイルペーパーに。ハンダはオヤイデ電気の音響専用ハンダSS-47を使いました。とても扱い易くて仕上がりも綺麗で、気に入ってるハンダです。RCAピンケーブルもこのハンダで作ってます。
そして、一番肝心なのが出力トランス。UL接続という改造を施す為には、SGタップ付きのトランスが絶対条件の必須アイテムです。しかし、値段が非常に高いのが痛い。ここは要となる所なので奮発してタンゴのXE-20Sをゲット。これだけでエレキットのTU-879Sが買えちゃうんだから、トホホです。

さて、この半年間、UL接続のGold Lion KT88を只管聴き続けました。標準装備のchina-300Bは低音の厚みもあり、明るく元気な音で悪くないのですが、KT88のほうがより自分の好みの音でした。しかもUL接続が良い。3結は、透き通るような高音とはこのような音のことかと、感動的に綺麗な音を出しますが、これはクラシック向きという気がします。やはり、メリハリの利いたダイナミックな音のUL接続がブルースやジャズには合ってますね。

Gold Lion KT88は十分に聴き込んで慣れてしまったので、そろそろ次の真空管を試してみたくなりました。選んだのはKT66。KT88との違いが知りたかったので、同じメーカーのロシア製Gold Lionを購入しました。


左がKT88、右がKT66です。両方ともとても綺麗でカッコいい真空管ですね。
スタイル的には派手めのKT88、渋めのKT66という感じですが、KT66のほうが胴回りが幾分細く、ノッポになってます。こういう形状の差って音に影響するのだろうか?6L6GCにはストレート管でも細めの管や太めの管、それからダルマ管もあるしね。音に影響ありそうな感じはするのだが、どうなんでしょうね。
先は長い、ボチボチとやっていこうかな。


Gold Lion KT66を愛機TU-8300にセットしてみました。
システムは相変わらず

CDプレーヤー : DENON DCD-1650AR
真空管アンプ : TU-8300
スピーカー : JBL 4312D
RCAケーブル : Belden 8412
SPケーブル : Belden 8460

KT88とKT66、音の傾向はよく似てるし、明らかな音の差は感じられないな。微妙な差だね。KT88は余韻の残る艶やか高音の響きと迫力の中低音で、割とゴージャス感のあるサウンド。KT66はそれを若干大人しくタイトにした感じで、KT88と比べるとナチュラル感があるかな。要するに極論から言っちゃえば、見た目通りってことだ。


いずれにしても、KT88もKT66も素晴らしくいい音がすることに間違いない。
ギターやウッド・ベースの音、ハーモニカ、ピアノ、サックスにトランペット、ドラムのブラッシング。真空管はどうしてこうも惚れ惚れとする音が出るんでしょうね。
音の立体感というのかな。音が目の前にバッと迫ってくる感じには圧倒されます。
それとボリュームを絞っても低音が死なないのが良い。バランスが壊れないんですよね。スピーカーは大きい音を出さないとその真価を発揮しないと、よく見聞きしますが、それは違うと思う。

そして、真空管アンプの良さは、何と言っても真空管を差し替えられるというお楽しみがある事。次は6L6GCにするか、EL34、6550、ヴィンテージ物も1セットは欲しいし、難題の300Bも控えてる。さて、どれにしようか。

2010年12月5日日曜日

Sista Monica Parker / Soul Blues & Ballads


『Sista Monica Parker / Soul Blues & Ballads』 (Mo Muscle Records MMRE-4462)
1. I'm A Woman
2. The Walking Wounded
3. Honey It's Your Fault
4. Behind My Back
5. Leave the Door Open
6. Come To Mama
7. A Chance To Breathe
8. Never Say Never
9. Pussy Cat Moan
10. It's A Shame, It's A Mystery
11. I Don't Want To Hurt You Baby
12. How Long Does It Take?
13. Soul Shine

シスタ・モニカ・パーカーの通算9作目となった今回のアルバムは、今までリリースした自身のアルバムの中から、ソウルやブルース、バラード曲に焦点を絞りコンピレーションされたアルバムで、自身初のベスト盤ということになります。

まずは一献。アルバム・タイトルを象徴しているかのようなブルージーなソウル・ナンバー。この曲は3作目のアルバム「People Love the Blues」に収録されてたモニカのオリジナル曲です。



いや~、何回聴いても痺れるね。楽曲もいいし、特にこの図太い声が好きなんだな。大地が震えだしそうなシャウトも圧巻で、もうゾクゾクする。モニカの歌は本当に素晴らしい。ギターのChris Cobbもウォームなトーンが恍惚としててなかなかのもんです。

シスタ・モニカは元々ゴスペル・シンガーだったそうで、このアルバムには収録されておりませんが、ゴスペル・ナンバーを一曲。



これはシャーリー・シーザーの曲で、8作目の「Sweet Inspirations」で歌ってました。アメイジング・グレイスとかも良く歌ってますが、自分はこういうアップ・テンポの曲が好きなんだな。ゴスペルのコール&レスポンスは楽しいですね。やっぱ教会で体感したいものだ。

さて、次はスロー・ブルースを一曲。


この曲も3作目の「People Love the Blues」に収録されてたオリジナル曲。出だしのLarry McCrayのペキペキしたギターがたまらんね。

次の曲も「People Love the Blues」から



どっしりと重たいシャッフル・ナンバー。モニカも貫禄の低い声で入り、とても濃厚なブルースになってますね。ハーモニカはアンディ・ジャストが吹いております。

ゴスペルからコンテンポラリーなソウル、ロッキン・ブルースまで何でもござれのモニカですが、この声と歌唱力ですから説得力は絶大。(6)の「Come To Mama」辺りを聴いてると、ブルースのお手本はやっぱりエタ・ジェイムスかなと思ってしまう。

最後にJB流ファンキー・ソウル・ナンバーをどうぞ!