2010年12月31日金曜日

Carlos Johnson / Encore! Live at B.L.U.E.S. on Halsted



『Carlos Johnson / Encore! Live at B.L.U.E.S. on Halsted』 (P-Vine PCD-25092)
1. Hey Pretty Baby
2. Real Mother For Ya
3. Ain't Nobody's Business
4. Jimmy Reed Medley
    You Don't Have To Go
    Bright Lights, Big City
    Going To New York
5. Don't Ever Leave Me
6. Mercy, Mercy, Mercy
7. Bluesman
8. Key To The Highway

2007年にリリースされた「Live at B.L.U.E.S. on Halsted」の続編というか、前作の収録からあぶれた曲が収められてる訳ですが、曲や演奏共に見劣りするものではないですね。

一曲目は記念すべき1stアルバム「My Name Is Carlos Johnson」の冒頭を飾った曲。この1stアルバムを入手するのに、やきもきし諦めもしやっと手に入れたという懐かしいことを思い出しました。元々、シャッフルっぽい楽調の曲ですが、このライブではテンポの早いスウィンギー調にアレンジされてます。ファットなトーンとジャジーでスウィンギーなコード・カッティングは自分好みなのですが、思い入れもあるのかシャッフルのほうがカッコいいように思います。

(2)はジョニー・ギター・ワトソン作で、ファンキー度満点のカッコいい一曲。スクイーズにしばしば耳が行きがちだが、何気ないカッティングにゾクッと痺れる。

そして、ジミー・ウィザースプーンの名曲(3)。この曲も1stに収録されておったが、エモーショナルなギターに更に磨きが掛かって、このライブのほうが断然よろしいですね。
カルロス・ジョンソンはアルバート・キングやオーティス・ラッシュと同様に、右用のギターをそのまま左の持ち替えて弾いております。チョーキングは通常持ち上げるのですが、彼の場合は引き下げる事になります。これが独特のフレーズを生み、何とも言えない鳴き(泣き)のギターになるんですね。

(4)や(7)もお得意のシャッフル・ナンバー。(7)は1stアルバムでは「My Name Is Carlos Johnson」というタイトルで収録されておった曲ですね。8ビートのブギ、このノリはやっぱ最高にカッコいいですわ。

キャノンボール・アダレイで有名な(6)。ジャズ・ファンクちゅう感じですが、こういうジャズ・ナンバーもさらっとやってのけるのもカルロスらしいところ。
最後はジャズ・ジラム作のブルース定番曲。エモーショナルな歌とギター、思わず唸ってしまいました。




カルロスはこのギブソンの335を長年愛用してるようですが、余程のお気に入りのギターなのでしょうね。太くていい音がしますよ。

2010年12月30日木曜日

Glen David Andrews / Walking Through Heaven's Gate



『Glen David Andrews / Walking Through Heaven's Gate』 (Threadhead Records)
1. Opening Prayer - Reverend Joshua
2. Down By The Riverside
3. Jesus On The Main Line
4. Just A Closer Walk With Thee
5. (Song Intro)
6. Rock Of Ages
7. Walking Through Heaven's Gate
8. I'll Fly Away
9. Battle Hymn Of The Republic
10. We Shall Walk Through The Streets Of The City
11. Family/Lift Every Voice And Sing/Somebody Prayed For Me

Reverend Joshua - Pastor
Charisse Mason - Choir Director, b3 organ, electric piano
Matt Clark - electric guitar, banjo
Paul "Andrews" Sanchez - acoustic guitar
Julian Gosin - trumpet
Glen Andrews - trumpet
Revert "Peanut" Andrews - trombone
John L. Reynolds - bass
Eugene Harding - drums
Chuck Perkins - Master of Ceremonies/spoken word
Troy Andrews - trumpet (10)
John Boutte - vocals (9)

2008年11月18日、ニューオーリンズのトレメ地区に在るザイオン・ヒルというパブティスト教会で、グレン・デイヴィッド・アンドリュースのゴスペル・ライブが行われた。
グレン・デイヴィッドはジェイムズとトロイのアンドリュース兄弟とはいとこだそうで、若きトロンボーン奏者でシンガーでもあります。



このメイキングを観ると、ザイオン・ヒルは比較的小さな教会のようで、クワイアも入れて総勢20数名の出演者は所狭しと演奏し、ミサに来ましたという感じの観客。その間の距離感というのをあまり感じさせなくて、なんともアットホームな感じが羨ましいというか、自分もそこに参加したいとつくづく思います。

収録曲はトラディショナルな曲を中心に演奏されてるので、ゴスペルがあまり詳しくない自分でも知ってる曲が多く、サウンドはニューオーリンズR&Bで、ドラムはドッコンドッコン、ベースはブンブン。ブルージーなギターに、まったりとしたホーン、クワイアも含め、全体的に素朴で荒削りな演奏はとてもイナタくて、めちゃくちゃ好きです。



悠然としたグレン・デイヴィッドのトロンボーン、それに絡むマンドリン、たまらんです。穏やかなクワイア、女性歌手とグレン・デイヴィッドの迫力の歌。リズムはドットドットとゆったりと進む。最高ですね。


この曲はグレン・デイヴィッドとポール・サンチェスの共作によるアルバムタイトル曲。
グレン・デイヴィッドの歌をまじまじと聴いたのは今回のアルバムが初めてなのですが、なかなか上手いし腹の底から出てる感じの迫力の歌声で、結構気に入りました。


トロンボーン・ショーティことトロイ・アンドリュースがトランペットでの参加。オーバーブロウが凄いね。

(9)ではジョン・ブッテが登場。しっとりとした雰囲気のB3オルガンを従えて、ジョン・ブッテが歌う。オルガンの音色も寂寞とした雰囲気があってしんみりと聴かせてくれます。後半バンドが入り、グレン・デイヴィッドの歌も乱入して大盛り上がりします。何度も聴いた曲だけれどもやっぱり痺れるね。
他にもいい曲ばかりで、I'll Fly Awayも好きですね。このノリいいな。兎に角、オープニングのPrayerから最後のメドレーまで全曲最高に素晴らしいです。シン~ガ~ソング♪って一緒に合唱したいよ。

2010年12月20日月曜日

Delta Groove All-Star Blues Revue / Live At Ground Zero


『Live At Ground Zero Vol. 1』 (Delta Groove DGPCD 131)
1. Los Fabulocos - I'm Gonna Be A Wheel Someday
2. The Insomniacs - At Least I'm Not With You
3. The Mannish Boys featuring Johnny Dyer - Everything's Gonna Be Alright
4. Philip Walker - Street Walking Woman
5. The Mannish Boys featuring Finis Tasby - Lonesome Bedroom Blues
6. The Insomniacs - Description Blues
7. Junior Watson - Wolf Pack
8. The Mannish Boys featuring Kirk "Eli" Fletcher - Lucille
9. Jackie Payne Steve Edmonson Band - She's Nineteen Years Old
10. Mike Zito - Dirty Blonde
11. Jason Ricci & New Blood - Shake Your Hips


『Live At Ground Zero Vol. 2』 (Delta Groove DGPCD 132)
1. The Insomniacs - Stick Around
2. Jackie Payne Steve Edmonson Band - Overnight Sensation
3. Jason Ricci & New Blood - I'm A New Man
4. The Mannish Boys featuring Kid Ramos - Johnny Cochino
5. The Mannish Boys featuring Bobby Jones - Mary Jane
6. The Insomniacs - Broke And Lonely
7. Los Fabulocos - If You Know
8. Mike Zito - Slow It Down
9. Phillip Walker - Lay You Down
10. Los Fabulocos featuring Kid Ramos - Burnin' The Chicken

2008年5月9日、ミシシッピのクラークスディルにあるブルース・クラブ「グランド・ゼロ」で、デルタ・グルーヴ・プロダクションの年一回のライブが開催された。

デルタ・グルーヴ・プロダクションは米国西海岸に本拠地を置いてるレーベルだが、個人的には新興レーベルとしては、テキサスのダイアルトーンと並んで最も信頼の置けるレーベルの一つだ。

このレーベルのポリシーは、トラディショナル、ハウス・ロッキン、ダウンホーム、ロウ・ダウン、リアルである事で、そして、何よりも大切なのは、どんなバンドでもしっかりとしたルーツを持ってる事らしい。正に有言実行のレーベルで、彼等のサウンドを象徴してるのが、マニッシュ・ボーイズというバンドだが、納得させられるだけの説得力あるサウンドを放ってるのは確か。ウエストコースト・ブルースファンには避けては通れぬレーベルだ。

トラディショナルを踏まえながらも、現在進行形のサウンドを聴かせてくれるこのレーベルの若手からベテランまで、一堂に会し繰り広げられたライブが"Delta Groove All-Star Blues Revue"である。それは12時間にも及ぶものだったらしいが、もう夜通しという感じだったんだろうね。グランド・ゼロ・ブルース・クラブというロケーションも最高だな。


まずはマニッシュ・ボーイズを見て頂きましたが、本当はグランド・ゼロのライブ映像が在れば良かったのだけれど、残念ながらアップロードされてなかったので別のライブ映像になってしまいました。だけど、バンドの雰囲気やら持ち味は十分出てますね。
ここでは、Bobby Jonesが歌ってますが、他にもJohnny DyerとFinis Tasbyがボーカルを担当してます。



ギター・インストではKirk "Eli" FletcherがやったりKid Ramosがやったりしてますが、それぞれ個性的なのでその辺りを踏まえて聴くのも面白い



こういう演奏を延々とやってるんでしょうね、たまらんな。
デルタ・グルーヴの一つのコミュニティ的なバンドになってまして、次には誰が加入して来るのか、ゲストはとか、その辺りも結構楽しみなバンドで、ルーツがしっかりとしておりますので誰が入ってもブレない所が良さでしょうね。

さて、若手ではやはりThe Insomniacsがいいね。このバンドは先日ご紹介致しましたので飛ばしていきますが、スロー・ブルースのVol.1の(6)やロッキン・ブルースのVol.2の(1)など、なかなかいい感じ。

次は、Jason Ricci。デルタ・グルーヴの中でもロック系のEclecto Grooveからアルバムを出してるバンド。自分にはちょっとうるさいサウンドなので今まで聴いてなかったが、いいハープ吹きだと言う事は知ってます。
このアルバムでは、Vol.2の(3)が良い。ちょっぴりレイドバックしたサザン・ロック調で、なんかエリック・リンデルを思い出しそうなサウンドだな。ハーモニカも生ハープとアンプリファイドと吹き分け、何ともゾクっとくる音色を放っております。



このライブ映像では、ルー・リードの「Walk on the Wild Side」とのメドレーがとってもおシャレじゃないですか。
スリム・ハーポのVol.1の(11)では、ザディコ調のロッキン・ブルースで、軽く歪んだアンプリファイド・ハープ、ノリ、勢い、ガツンとくる迫力があって良いですね。
ロック系の人だけれども、根っこにはブルースを感じさせられます。この選曲はデルタ・グルーヴ側の配慮があったのかな。

ベテラン勢では、Jackie Payneもなかなかいい歌い手なのですが、ちょっと長くなってしまったので飛び抜かして、本命のフィリップ・ウォーカーを。
このアルバムを通して一番良かったのは、このフィリップ・ウォーカーです。ただ単に自分が好きだからなのですが、硬質でキレのあるギターでバキバキ引き倒す様は、やはりテキサスのギタリストという感じだ。



畏まったフィリップ・ウォーカーではなく、地のフィリップ・ウォーカーが見れたという感じのライブ映像。正に今が旬と思える程の迫力で凄まじいね。ほんと、惜しいです。
追悼盤としてフィリップ・ウォーカーのLive At Ground Zeroを、CDとDVDでリリースしてくれないかなとデルタ・グルーヴさんには期待してたんですが、今の所その気配はないようです。今からでも遅くない、どうか一つお願いしたいですね。

2010年12月14日火曜日

Genalex Gold Lion KT66

真空管アンプのキットを自作して半年以上経ちましたが、何のトラブルもなく快適に真空管サウンドを満喫しております。自分で言うのもなんですが初めて作ったにしては上出来以上の出来栄えで、サウンドも含め非常に満足してます。

作製したアンプはエレキットから昨年限定発売されたTU-8300というアンプで、300B シングルステレオパワーアンプなのですが、5 極管の3結も可能というスグレモノ。300Bを初め、KT88、6550、KT66、6L6GC、EL34等を改造しなくても挿し替えられるのです。真空管を替えてそれぞれの音を楽しむという、真空管アンプの持つ面白さの一つを十二分に堪能できる訳です。

作製に当たっては出来る範囲で部品も交換しました。抵抗はタクマンのREYオーディオ用金属皮膜、カップリング・コンデンサーは東一のVitamin-Q オイルペーパーに。ハンダはオヤイデ電気の音響専用ハンダSS-47を使いました。とても扱い易くて仕上がりも綺麗で、気に入ってるハンダです。RCAピンケーブルもこのハンダで作ってます。
そして、一番肝心なのが出力トランス。UL接続という改造を施す為には、SGタップ付きのトランスが絶対条件の必須アイテムです。しかし、値段が非常に高いのが痛い。ここは要となる所なので奮発してタンゴのXE-20Sをゲット。これだけでエレキットのTU-879Sが買えちゃうんだから、トホホです。

さて、この半年間、UL接続のGold Lion KT88を只管聴き続けました。標準装備のchina-300Bは低音の厚みもあり、明るく元気な音で悪くないのですが、KT88のほうがより自分の好みの音でした。しかもUL接続が良い。3結は、透き通るような高音とはこのような音のことかと、感動的に綺麗な音を出しますが、これはクラシック向きという気がします。やはり、メリハリの利いたダイナミックな音のUL接続がブルースやジャズには合ってますね。

Gold Lion KT88は十分に聴き込んで慣れてしまったので、そろそろ次の真空管を試してみたくなりました。選んだのはKT66。KT88との違いが知りたかったので、同じメーカーのロシア製Gold Lionを購入しました。


左がKT88、右がKT66です。両方ともとても綺麗でカッコいい真空管ですね。
スタイル的には派手めのKT88、渋めのKT66という感じですが、KT66のほうが胴回りが幾分細く、ノッポになってます。こういう形状の差って音に影響するのだろうか?6L6GCにはストレート管でも細めの管や太めの管、それからダルマ管もあるしね。音に影響ありそうな感じはするのだが、どうなんでしょうね。
先は長い、ボチボチとやっていこうかな。


Gold Lion KT66を愛機TU-8300にセットしてみました。
システムは相変わらず

CDプレーヤー : DENON DCD-1650AR
真空管アンプ : TU-8300
スピーカー : JBL 4312D
RCAケーブル : Belden 8412
SPケーブル : Belden 8460

KT88とKT66、音の傾向はよく似てるし、明らかな音の差は感じられないな。微妙な差だね。KT88は余韻の残る艶やか高音の響きと迫力の中低音で、割とゴージャス感のあるサウンド。KT66はそれを若干大人しくタイトにした感じで、KT88と比べるとナチュラル感があるかな。要するに極論から言っちゃえば、見た目通りってことだ。


いずれにしても、KT88もKT66も素晴らしくいい音がすることに間違いない。
ギターやウッド・ベースの音、ハーモニカ、ピアノ、サックスにトランペット、ドラムのブラッシング。真空管はどうしてこうも惚れ惚れとする音が出るんでしょうね。
音の立体感というのかな。音が目の前にバッと迫ってくる感じには圧倒されます。
それとボリュームを絞っても低音が死なないのが良い。バランスが壊れないんですよね。スピーカーは大きい音を出さないとその真価を発揮しないと、よく見聞きしますが、それは違うと思う。

そして、真空管アンプの良さは、何と言っても真空管を差し替えられるというお楽しみがある事。次は6L6GCにするか、EL34、6550、ヴィンテージ物も1セットは欲しいし、難題の300Bも控えてる。さて、どれにしようか。

2010年12月5日日曜日

Sista Monica Parker / Soul Blues & Ballads


『Sista Monica Parker / Soul Blues & Ballads』 (Mo Muscle Records MMRE-4462)
1. I'm A Woman
2. The Walking Wounded
3. Honey It's Your Fault
4. Behind My Back
5. Leave the Door Open
6. Come To Mama
7. A Chance To Breathe
8. Never Say Never
9. Pussy Cat Moan
10. It's A Shame, It's A Mystery
11. I Don't Want To Hurt You Baby
12. How Long Does It Take?
13. Soul Shine

シスタ・モニカ・パーカーの通算9作目となった今回のアルバムは、今までリリースした自身のアルバムの中から、ソウルやブルース、バラード曲に焦点を絞りコンピレーションされたアルバムで、自身初のベスト盤ということになります。

まずは一献。アルバム・タイトルを象徴しているかのようなブルージーなソウル・ナンバー。この曲は3作目のアルバム「People Love the Blues」に収録されてたモニカのオリジナル曲です。



いや~、何回聴いても痺れるね。楽曲もいいし、特にこの図太い声が好きなんだな。大地が震えだしそうなシャウトも圧巻で、もうゾクゾクする。モニカの歌は本当に素晴らしい。ギターのChris Cobbもウォームなトーンが恍惚としててなかなかのもんです。

シスタ・モニカは元々ゴスペル・シンガーだったそうで、このアルバムには収録されておりませんが、ゴスペル・ナンバーを一曲。



これはシャーリー・シーザーの曲で、8作目の「Sweet Inspirations」で歌ってました。アメイジング・グレイスとかも良く歌ってますが、自分はこういうアップ・テンポの曲が好きなんだな。ゴスペルのコール&レスポンスは楽しいですね。やっぱ教会で体感したいものだ。

さて、次はスロー・ブルースを一曲。


この曲も3作目の「People Love the Blues」に収録されてたオリジナル曲。出だしのLarry McCrayのペキペキしたギターがたまらんね。

次の曲も「People Love the Blues」から



どっしりと重たいシャッフル・ナンバー。モニカも貫禄の低い声で入り、とても濃厚なブルースになってますね。ハーモニカはアンディ・ジャストが吹いております。

ゴスペルからコンテンポラリーなソウル、ロッキン・ブルースまで何でもござれのモニカですが、この声と歌唱力ですから説得力は絶大。(6)の「Come To Mama」辺りを聴いてると、ブルースのお手本はやっぱりエタ・ジェイムスかなと思ってしまう。

最後にJB流ファンキー・ソウル・ナンバーをどうぞ!

2010年11月29日月曜日

The Insomniacs / At Least I'm Not With You


『The Insomniacs / At Least I'm Not With You』 (Delta Groove DGPCD130)
1. Lonesome
2. Broke And Lonely
3. Directly From My Heart To You
4. Maybe Sometime Later
5. At Least I’m Not With You
6. Root Beer Float
7. Hoodoo Man Blues
8. She Can Talk
9. Baby Don’t Do It
10. Angry Surfer
11. Description Blues
12. 20/20
13. Insomniacs Boogie

The Insomniacs:
Vyasa Dodson - vocals & guitar
Dean Mueller - bass
Alex Shakeri - piano & Hammond B-3
Dave Melyan - drums

Special Guests:
Al Blake - harmonica (1)
Mitch Kashmar - harmonica (7)
Joel Paterson - Pedal Steel Guitar (2)
Jeff Turmes - Tenor Sax (3, 5, 9, 13) Baritone Sax (3)




相変わらずこのバンド名を何と読むのか分からないんだな。
ジ・インサムニアックスでいいのかな?
不眠症患者という意味なんですが、演奏がカッコ良過ぎで眠れないのか、はたまた雑音だからてんで眠れないのか、それは聴く人次第で、、、、、結局不眠症になるのか。

それはさて置き、このバンド、ウエスト・コースト近辺の若手ブルース・バンドの中ではピカイチの実力派だと個人的には思ってんだけれど、日本では全く紹介されずだ。
このアルバムはビルボードのブルース・チャートで14位にまで上ったし、アメリカでは良く聴かれてるんだけどな。

今回のアルバムで通算2作目のリリースとなります。
前作のジャケットは余りにも奇抜なデザインでドン引き、買うのを躊躇ったほどだったが、内容はジャンピーなロッキン・ブルースでゴキゲンなサウンドでした。
今回はジャケがカッコよくなってまずは良かった。サウンドは前作同様の路線で、ジャンプ・ブルースやブギがあり、R&Bあり、トラディショナルなブルースありだ。少々ソリッドなサウンドになったような気がするが、これはギターの音色の影響かな。

まず、1曲目はメンフィス・スリムの曲だが、これはハリウッド・ファッツのバージョンをカヴァーしたもの。若手にもハリウッド・ファッツの影響力は絶大だな。この曲にアル・ブレイクがハーモニカで参加してるのも感慨深いものがある。軽快なノリの良い曲ですが、ナチュラル・トーンのハープが妙に染み入るな。

2曲目はジョニー・オーティス&ジョニー”ギター”ワトソンの曲だね。ジョニー・ウィンターに比べれば、かなりイナタいサウンドだよ。エグいサウンドにしないで自分等のサウンドを崩さないのはお若いのにと思ってしまう。ソリッドで若干歪み系のギターも結構カッコよい。

(3)はリトル・リチャードの曲。フェントン・ロビンソンがやってたが、あれと比較するとかなり分が悪いね。特に歌が、、、、、比較するのは可愛そうだろですが、でもなかなか頑張ってるほう。ウォームなトーンで弾くギターは結構上手い。

カヴァー曲では他に名曲の(7)、ここではゲストのミッチ・カシュマーがハーモニカを吹いてます。ウィリアム・クラークの愛弟子ですが、現在のウエスト・コースト界隈では1、2を争う名ハーピスト。この人のアンプリファイド・ハープはやっぱ絶品だ。
(9)は5ロイヤルズのR&Bナンバー、(11)はT-ボーン・ウォーカーの曲のようですが、大分アレンジされてます。しっとりとした雰囲気のいいスローブルースで、間合いといいタメといいなかなか艶っぽいギターに、ブルージーなハモンドB-3のサウンド。結構好きです。

オリジナルもカヴァーした名曲に負けず劣らず上出来の曲が多く、シャッフルのインスト・ナンバー(6)、ここではよく転がるピアノが上手いね。思いっきりハードにロッキン・ブルースしてる(8)や(10)も結構カッコいい。ギターも然ることながら跳ねまくるピアノの存在は大きい。最後はそのピアノをメインにしたブギ・ナンバーと言いたいところで、もうちょっとピアノが聴きたい気分だったが、やはり、このバンドはボーカリスト兼ギタリストでコンポーザーのVyasa Dodsonのバンドのようだ。

2010年11月26日金曜日

Eric Lindell / Gulf Coast Highway


『Eric Lindell / Gulf Coast Highway』 (Alligator ALCD 4918)
1. If Love Can't Find A Way
2. Willin' And Able
3. Love And Compassion
4. This Love Is Gonna Last
5. Turnin' It Out
6. It's A Drag
7. Lullaby For Mercy Ann
8. The Look
9. I Can Get Off On You
10. Country Livin'
11. Dirty Bird
12. I'll Be Around
13. Here Comes The Blues Again
14. Crying Time
15. Raw Doggin'

Eric Lindell - vocals, electric rhythm/slide/lead guitar
Sean Carey - harmonica, backing vocals
Marc Adams - hammond b-3 organ
Chris Mule - acoustic resonator guitar
Jimmy Carpenter - tenor sax
Derek Huston - tenor/baritone sax
Aaron Wilkinson - bass
Chris Dejohn - drums, soul claps, shaker
Stanton Moore - drums
Sheila Sander - backing vocals
Tana Doughty - backing vocals




自主制作されたエリック・リンデルのアルバムの中でも、特にファースト・アルバムはそれこそ擦り切れるほどよく聴いたな。
隙間だらけでまったりとしたあのサウンドに戻る事は、もうないんだろうなと思いつつアリゲーター盤を聴いてると、無性にファースト・アルバムが聴きたくなって、ラックから取り出しては聴き入ってしまう。

だからと言ってアリゲーター盤がつまんないということは決してない。クリエーターである限り先に進まないといけないだろうけれど、エリック・リンデルの音楽性は何一つ変わってない。そこんところがいいんだな。

アリゲーターからは今回のアルバムを含め3枚のアルバムをリリースしたが、気合が入り過ぎてオーバー・プロデュース気味だった一枚目を自ら省みたのか、2枚目、3枚目では悠然とした感じで自主制作の頃のサウンドに前進したような気もする。自分の耳が順応したのかもしれないが、3枚の中では今回のアルバムが一番好きで一番よく聴いたかも。

全体的にキャッチーな曲が多く、ポップでファンキー。
ファンキーの要はスタントン・ムーアのドラミングで、2曲目なんか正しくポップ&ファンキー。バンドアンサンブル、リズムの間合い、とってもカッコいいね。

一曲目はエリック・リンデルの持ち味が良く出てるスワンプ・ホップで、ほんわかとしたポップなサウンドとエリックの何処となく寂しげなボーカル。このバランス感覚がエリックらしい。絶妙なタイミングで入ってくるハーモニカの音色も素朴で心地よい。
3曲目もキャッチーなメロディーを持つスワンプ・ポップ。この辺りの曲作りの上手さは際立ってるね。結構、お気に入りです。

(4)や(8)、(12)あたりはどちらかと言うとサザン・ロック系のサウンドだが、兎に角スタントン・ムーアのドラミングが凄くて、この人が叩くと俄然ファンキー度がアップする。流石にニューオーリンズのドラマーだけあってリズムが半端ない。どの曲もカッコいい。

YouTubeの曲の(5)や(7)も結構いい曲でしょう。(7)はアルバムではスタントン・ムーアがドラム叩いてるが、ドラムロールが印象的です。

デルバート・マクリントンの(13)はスワンピーなカントリー・ロック調の曲で、ほのぼのとした感じがたまらんのです。スワンピーなハーモニカもいい味出してるな。

最後はジャム・ファンクのインスト・チューンで〆だ。出だしのメインはハモンドB-3で、ジョー・クラウンのオルガン・コンボを彷彿とさせて、めちゃカッコいいよ。

2010年10月25日月曜日

Joe Louis Walker / Between A Rock And The Blues


『Joe Louis Walker / Between A Rock And The Blues』 (Stony Plain SPCD-1345)
1. I'm Tide
2. Eyes Like a Cat
3. Black Widow Spider
4. If There's a Heaven
5. Way Too Expensive
6. I've Been Down
7. Prisoner of Misery
8. Hallways
9. Tell Me Why
10. Blackjack
11. Big Fine Woman
12. Send You Back




2009年にリリースされた今回のアルバムはプロデュースがデューク・ロビラードで、バックもデューク・ロビラードのバンドが全面的に参加してる。今までジョー・ルイス・ウォーカーをあまり聴いてこなかった自分でも、ちょっと気になる1枚でした。
アルバムタイトルから連想されるイメージはブルース・ロックで、コアなヴィンテージ・ファンは拒否反応を示されるサウンドだろうかな。

確かに1曲目なんかはハードなブルース・ロックだけれども、結構カッコよいぞ。ギターはいつものペキペキではなく、レスポール系のファット&サスティーンで弾き捲くる。しかし、カッコいいのはそこではなく、ギターのリフと歌に尽きる。リズムはタイトでこんだけカッコいいのだから、ソロがもう少しどうにかならないものかと思うのだが、その辺はやはりライブのほうがもう一段カッコいいね。

このままブルース・ロックで押し捲るかと思いきや、2曲目はなんとジャンプ・ブルースで、おーっと唸ってしまった。この曲はLittle Charlie & the Nightcats がやってた曲だが、サウンドはゲイトマウス・ブラウンのジャンプ・ブルースに近い。バンドの纏まりもノリもとてもいいね。よく転がるピアノにイナタいトロンボーン、そして特にいいのがジョー・ルイスの切れの良いペキペキギターで、ゲイトマウスのフレーズが出てきたりして兎に角楽しい。

ジャンプ・ブルースは他に(5)でもやってるが、こちらはB.B.キングっぽいジャンプ・ブルースで、アフター・ビートの効いたリズムが印象的。ギターは渋めに決めてます。

(3)(8)(10)はサザン・ソウル。マッスルショールズやフェイムを彷彿とさせる(3)、レイ・チャールズの(10)は特にいい。ジョー・ルイスはギターだけではなく歌も上手い。正にサザン・ソウル・シンガーそのもので、クラレンス・カーター辺りを思わせるくらいディープ。

(4)(6)(11)はサザン・ロック風。その中でも(6)がカッコいい。(11)は"Big Leg Woman"のリメイクで、ワウを噛ませサスティーンを効かせたギター・サウンドは、やはりサザン・ロックしてますね。

デューク・ロビラード作の(9)はスライド・ギターを導入したシャッフル・ナンバー。(12)はシュガー・レイ・ノルシアのハーモニカとジョー・ルイスのアコギのコラボによるスロー・ブルース。ハーモニカの哀愁を帯びた音色、染み入るね。

それぞれの曲がそれぞれ違ったテイストを持ってて、ギターも曲調に合わせて巧みに弾き分けております。ヘタこくとアンバランスなアルバムに終わってしまうのですが、そこはデューク・ロビラードのプロデュース力でキッチリ纏められてます。

2010年10月21日木曜日

John Boutté & Paul Sanchez / Stew Called New Orleans


『John Boutté & Paul Sanchez / Stew Called New Orleans』 (Threadhead Records)
1) Stew Called New Orleans
2) Two-five-one
3) Hey God
4) I Thought I Heard Buddy Bolden Say
5) Calll Me Superstitious
6) An Empty Chair
7) Don't Smoke Around Suzie
8) Wakes Me Up To Say Good-bye
9) A Meaning or A Message
10) Be A Threadhead
11) American Tune

John Boutte - vocals, tambourines
Paul Sanchez - vocals, acoustic guitar
Leroy Jones - trumpet
Todd Duke - electric guitar
Peter Harris - bass




ニューオーリンズを拠点に活動するジョン・ブッテとポール・サンチェスが共演したアルバムです。

ジョン・ブッテはジャズ・シンガーだけれども、ブルース、R&B、ソウル、ゴスペル、ラテンと幅広いジャンルを自分流に料理しちゃう、今や引っ張りだこの天才的シンガー。気に入った曲ならばニール・ヤングでも取り入れる貪欲性は、やはりニューオーリンズの人らしいところ。
魂を搾り出すかの如くソウルフルに歌う歌声は、鳥肌が立つほど感動的で素晴らしい。

ポール・サンチェスはアルバムを聴いた事がないのでよく知らないのだが、フォーク・ロックをやるシンガー・ソング・ライターのようです。ニューオーリンズの人ですから一癖も二癖もあるようなサウンドを出すんでしょうね。

ジョン・ブッテのアルバムが出たら意地でも購入すると言うくらいジョン・ブッテには惚れ込んでおるのですが、ブッテとサンチェス、対等にメインを張るアルバムで、一緒にライブやったり、お互いのアルバムにゲスト出演するなど、意気投合するなかで自然な成り行きで企画されたアルバムなのでしょう。

「ニューオーリンズと呼ばれるシチュー」というアルバムタイトルが何ともカッコいい。ニューオーリンズのシチューと言えば、いろんな具材を使った濃厚なスープのガンボだが、このシチューは最高の具材をトコトコ煮込んで最高の味付けをしたクリームシチューというイメージ。素朴さの中に深い味わいの個性がある。のんびり聴いてリラックスできます。

ジャズで多用せれるコード進行を捩ったであろう(2)は、キャッチーなメロディーのレトロ・スウィング調で、Leroy Jones のトランペットが兎に角レトロで、良い味出してます。サンチェスのボーカルも柔らかい歌い口で、ほのぼのとした感じがとてもいいね。

ジャズ・バラードのサンチェス作(6)は「空の椅子」という曲で、寂しげな曲調から失恋の歌なのかなと連想してしてしまったのだが、イントロのTodd Duke のギター、サンチェスのボーカル、Leroy Jones のペット、男の哀愁なるものが漂ってて、なんかたまらんものがあるな。

一転して「スージーの周辺じゃ禁煙だよ」という(7)は、Louisiana Music Factory のライブで本人達もお客さんも大爆笑してるけれど、何と歌ってるのだろう?気になるところだが、軽快なノリのニューオーリンズR&Bでブルージーなブッテの歌も最高。

このアルバムの中では特にノリのよいジャイブ調の(10)、ブルージーなTodd Duke のギターがいいね。

そして、ジョン・ブッテがボーカルを執るポール・サイモンの(11)。アコギ一本で歌われるこの曲はブッテの素晴らしさが際立ってる。何回聴いても鳥肌が立ってね、ほんとグッとくる。
ジョン・ブッテって声域が広いわけでもないし、声帯も強そうじゃない、体も小さいし、身体的に恵まれたボーカリストではないけれど、人を感動させる歌心を持ってる。それこそ、魂から搾り出すと言う感じで歌う、伝わるんだよね。
素晴らしいボーカリストに出会えて感謝せねば、スティーヴィー・ワンダーに!

2010年10月18日月曜日

Harmonica Shah / If All You Have Is A Hammer


『Harmonica Shah / If All You Have Is A Hammer』 (Electro-Fi 3413)
1. Out On The Highway
2. I Wonder Why?
3. Bumble Bee Man
4. Nasty Brown Rat
5. I've Got A Woman Black As Midnight Gold
6. Stranded In Detroit
7. Every Goodbye Ain't Gone
8. If You Don't Leave, I'll Get Somebody Who Will
9. Blues For Ford, Chrysler and G.M.
10. Don't You Feel Like A Dog Covered In Fleas?
11. Boom Boom
12. Duke and Queen Blues
13. Cryin' Won't Help Me Now


デトロイトで活動しているハーピストのハーモニカ・シャー、2009年発売の最新アルバムです。Electro-Fi に移籍しての3作目、通算5作目のアルバムとなります。

デビュー当初からディープなダウンホーム・ブルースで、スロー、ミディアム共に重心の低いどっしりとしたサウンドが持ち味。ジョン・リー・フッカーのようなドス黒いブギではなく、やっぱり50年代のジュニア・ウェルズ辺りのシカゴ・ブルースが基本形です。

歌やハーモニカも野太くディープで、芯のしっかりした力強い演奏が魅力。

今回のアルバムも前作同様、Jack De Keyzer と組んだ作品で、このJack De Keyzer 、イギリス生まれでカナダで活動しているブルース・ギタリスト。ジャズやR&Bという側面も持ち合わせており、ディープではないがクリーンなトーンが気持ちいいモダンなギタリストです。

その前に組んでたHoward Glazer はディストーションを効かせたハードなギタリストで、なんかブルース・ロック的な感じにもなってました。やってる事は同じでもギタリスト1人で結構雰囲気が変わるものです。個人的にはJack De Keyzer のほうが好み。

ジョン・リー・フッカーの(11)以外は全てオリジナルで、1曲目こそ比較的アップテンポのシャッフル・ナンバーだが、全体的スロー、ミディアムテンポ中心の構成です。際立ってずば抜けた曲はないけれど、聴き込むほどに味が出る渋いアルバムですね。

2010年10月16日土曜日

Chick Willis / Hit & Run Blues


『Chick Willis / Hit & Run Blues』 (Benevolent Blues BEN 1)
1. Houdini Lover
2. Love To See You Smile
3. Stoop Down Low
4. Soul Of A Man
5. 1,2,3,4,5 Shots Of Whiskey
6. Millionaire
7. Country Lovin’ Man
8. Looking For My Baby
9. Recess In Heaven
10. Today I Started Loving You
11. Blues Man (Live)



 
 
チック・ウィリス。1972年の初アルバム"Stoop Down Baby...Let Your Daddy See"は、強烈なインパクトがありますね。自分はリアルタイムで聴いた訳じゃありませんが、チックを語るとき未だに引き合いに出されますよね。

お下劣だとか猥雑だとか。ジャケットとタイトル曲に起因するところで、正にその通りなのですが、それでもって敬遠するとなると、ちょっと勿体無い話だ。

全体的にチープで何となくダウンホームなサウンドは、如何にもB級ブルースという感じは否めないのだが、そこがまた良いとこなんです。好きな人にはたまらんのですが。

そのクセモノチックさんも今年で76歳位になられたのかな。まだまだ現役バリッバリのブルースマンですわ。

さて、今回のアルバムは2009年に発売された目下のところ最新アルバムです。

スタジオ新録とライブ音源1曲という構成で、サブタイトルを読むと何だか力入れてんのかなと期待させられるのですが、曲目をよくよく見ると気になるんですよ。

オリジナル半分、カヴァー半分という構成ですが、そのカヴァー曲全てボビー"ブルー"ブランド絡みなんですよね。余りにも安直過ぎないですかチックさん。

アルバム作るけど曲が足りなーい。偶々聴いてたボビー"ブルー"ブランドのベスト盤からこれとこれと入れちゃえって感じじゃないでしょうね? 根がいい加減ぽいから有り得るな。

しかし、内容はサブタイトルに偽りなし。53年間のブルース人生の集大成と言っても過言ではないくらい。歌詞の内容はともかく(英語解らん)、サウンドは前作と同様にブルーズン・ソウルの王道を行くスタイルだ。

チック・ウィリスの音楽性は昔から一貫しているし、ギターのペキペキ感も相変わらずで良い。ホーン・アレンジや女性コーラスの使い方など、60年代のR&B、ソウルの香りが漂うヴィンテージな雰囲気。バンド・アンサンブルなんかも凄くクールで、おちゃらけのイメージがある人だが、センスは抜群にいいね。ここ最近のアルバムは至って真面目にと言うと変だが、細部まで練ってあり丁寧に作ってますね。

そう言えば何年か前、アルバート・キングのトリビュート・アルバムを出したが、もしかしてこのアルバムはボビー"ブルー"ブランドに捧げるアルバムなのかも。
ソウル・バラードなんかもソロモン・バークじゃなくボビー"ブルー"ブランドだもんな。
(ソロモン・バークさんお亡くなりになられたそうで、残念ですね)

アルバム的にはライブ音源の(11)は要らなかったんじゃないかと。でも曲自体は最高で、ギター・スリム・スタイルのペキペキペキのギターはめちゃイナタくて痺れる。
やっぱり、B級グルメ・サウンドが好きだな。

最後にジャイブ・ナンバーを1曲どうぞ! ほんと可笑しい。



2010年10月12日火曜日

Smilin’ Bobby & Hidden Charms / Big Legged Woman


『Smilin’ Bobby & Hidden Charms / Big Legged Woman』 (Wolf Records CD 120.821)
1. I Play For Keeps
2. I Didn't Know
3. Cold, Cold Feeling
4. Little By Little
5. Big Legged Woman
6. I Got To Leave This Woman
7. The Bobby Strut
8. They Call Me a Dog (Mind Your Own Business)
9. You Don't Love Me
10. You Are the One




またまた、出てきましたね。知らないブルースマンが。
本名Bobby G. Smith、芸名をSmilin' Bobbyと言うブルースマンは、1939年生まれで、今年で71歳。

58年頃からシカゴのクラブとかマックスウェル・ストリートで活動し始め、Magic SamやWalter Jacobs、Hound Dog、Junior Wells、Vance Kelly、Buster Benton、Koko Taylorなどと演奏経験があるものの、今でもクラブ通いするブルースファンの間では、知る人ぞ知るブルースマンのようです。

半世紀にも及ぶクラブでの演奏活動を経て、本当に初めて録音されたアルバムのようですが、ジミー・リードやエディ・テイラー辺りのヴィージェイを彷彿とさせるヴィンテージなサウンドが基本です。

Israel Tolbertの(5)やトランプのリズムを使ったオリジナルの(7)などファンキーの曲も織り交ぜながら単調にならないよう構成されてます。

Jessie Mae Robinsonの(3)は結構好きですね。この曲はテキサスの人が好んでよく演奏する曲で、シカゴではあまり聴いた事ないですね。クリーントーンのギターはフェントン・ロビンソンを思わせるメローな感じで、なかなか良い雰囲気のギターです。

ファンキー物ではオリジナルの(6)なんか、派手にファンキーちゅう感じではないですが、トランプ物よりかはずっといいノリだと思います。

ガツンと一発という感じのブルースではなく、ジワジワ効いてくるタイプのブルースでまあまあいいんだけどな、なんか物足りなさを感じるのは自分だけかな。

2010年10月3日日曜日

Vance Kelly / Bluebird


『Vance Kelly / Bluebird』 (Wolf Records CD 120.818)
1. I Stay Mad
2. Ain't Gonna Worry About Tomorrow
3. I Wish He Didn't Trust Me So Much
4. Bump and Grind
5. Little Bluebird
6. My Baby Is Fine
7. Someone Else Is Steppin' In
8. Nobody's Sleeping in My Bed
9. Ain't Doin' Too Bad
10. Doing My Own Thing/I Can't Get Next to You/I'm a Bluesman
11. Soft-Hearted Woman
12. Stormy Monday Blues/Take off Your Shoes
13. Driving Wheel



ヴァンス・ケリー。1954年シカゴ生まれ。10代の頃よりA.C.リードのバンドに参加して、サウスサイドのクラブで叩き上げた生粋のシカゴ・ブルースマンだ。

彼のサウンドはビリー・ブランチのような伝統的シカゴ・ブルースを継承するという感じではなく、ソウルやR&Bテイスト溢れるコンテンポラリーなブルースで、それが個性となってます。

若い頃から活躍してるヴァンス・ケリーですが、ソロ・デビューは40歳になってからで、オーストリアのWolf Recordsから発表された。なして、外国のレーベルから。エディ・テイラーJR.もWolfからだもんな。これがブルースの国アメリカの現実なのか。

実際、彼のサウンドは地元シカゴよりもヨーロッパのほうがウケが良いのではないかなと思うのですが、どうなんでしょうね。

それでもコンスタントにアルバムを出し続け、今回のが2008年に発売された6作目となります。

(1)~(5)が2008年にシカゴのスタジオで録音されたもので、(6)以降が1994年から2002年に行われたヨーロッパツアーのライブ録音。ロックやポップスではあまり考えられない変則的構成ですが、ブルースではよくある事です。

ヴァンス・ケリーはデビュー当初より独自のサウンドを確立させてたので、知らずに聴いてもそれ程違和感なく聴く事が出来ます。それにスタジオでもライブでも同じレベルで演奏出来る能力の高さですね。ブルースマンの殆どが叩き上げなので、どっちかと言うとライブのほうが面白かったりします。

ヴァンス・ケリーの魅力は抜群に上手いソウルフルなボーカルで、(10)のジョニー・テイラー~アル・グリーン~ボビー"ブルー"ブランドという構成のメドレーでは、オーティス・クレイも真っ青のソウル・シンガーぶりに脱帽します。

また、ギターも器用なほうで結構上手い。例えば(12)では、出だしT-ボーンばりの流れるようなフレーズを弾き、ソロではタメの効いたディストーション・サウンドで、この切れ込みの良さには圧巻ですよ。ジャジーなフレーズからジミヘンまでお手の物じゃないかな。自分はこの曲が好きで、T-ボーンの曲だからというだけではなく、というか雛形がStormy Mondayというだけで、ヴァンス・ケリーのブルース魂を凄く感じられるからです。その要は実はドラムにあって、Charles Handcoxという無名のドラマーなのですが、ジャム・ファンク・バンド的なファンキーなドラムを叩くんです。なんといっても間の使い方が上手い。これがあるから歌もギターも生きてくる。サックスのソロからギター・ソロに移行する時のバンド・アンサンブル、ベタなんだけどこれが痺れるんです。

A.C.リードから始まるこのアルバム、他にも聴き所満載で、Little Johnny Christianのシカゴ・ブルース(2)、最近発売されたジミー・ドーキンスのアルバムで初めてその存在を知ったのですが、シカゴでは普通に知られてる曲なのかな。原曲はイントロのキーボードとかサックスの使い方、チコ・バンクスのギターとか凄くイナタイ。が、ヴァンス・ケリーの色に染まったこちらの曲も中々のいい出来。クリーン・トーンのギターが染みるね。

ボビー・ウーマックの(3)からZ.Z.ヒルの(4)、ジョニー・テイラーやリトル・ミルトンもやったアイザック・ヘイズの(5)、この辺りのシンガーとしての力量も聞き物です。

ライブではバディ・ガイが"スリッピン・イン"としてリメイクしたDenise LaSalleの(7)、リトル・ミルトンの(8)、ルーズベルト・サイクスの(13)まで、結構楽しい。

2010年9月30日木曜日

Long John Hunter / Looking For A Party


『Long John Hunter / Looking For A Party』 (Blues Express)
1. Looking For A Party
2. What's Come Over You
3. Beggar Man
4. Looking For My Baby
5. I Know A Man
6. Apple of My Eye
7. You Say You Want a Caddy
8. Greener Pastures
9. You Are My World
10. It's Hard To Please a Woman
11. Me and Phil



ロング・ジョン・ハンターの2009年に発売されたアルバムで、アリゲーターの"Swinging from the Rafters"から、(間に弟のトム"ブルースマン"ハンターとの共演作があるが)12年ぶりの久々の新作です。

ロング・ジョン・ハンターといえばアリゲーターで、というかそれしか無くて、60年代を編集した"Ooh Wee Pretty Baby!"というコンピレーション・アルバムもあるが、これが凄くワイルドなギターを弾いてて、あーやっぱりこういう時期もあったんだねと思う好盤。

しかし、ロング・ジョンはアリゲーターのサウンドが最高で、今回のアルバムも基本的にアリゲーター路線。ロッキン・ブルースは勿論、ニューオリンズのエッセンスを取り入れたものやソウルやジャズ・バラードもやってて、落ち着いた良い雰囲気のアルバムですね。歌は若干スモーキーな声になってるし、ギターは柔らかいトーンでファット。これが結構嵌っちゃうんです。

特に注目は、プロデューサーとコンポーザーでDennis Walkerが全面協力してる事。それに加え、ロバート・クレイのバンドが全面的にサポートしてる事。これでサウンドが悪いはずがなかろう。

自分の中ではこのアルバムがロング・ジョンの代表作と言っていいです。

ロング・ジョンも今年で79になりますが、まだまだがんばってほしいですね。

2010年9月24日金曜日

Louisiana Red & Little Victor's Juke Joint / Back to the Black Bayou


『Louisiana Red / Back to the Black Bayou』 (Ruf Records RUF 1149)
1. I'm Louisiana Red
2. Alabama Train
3. Crime In Motion
4. Ride On Red, Ride On
5. Sweet Leg Girl
6. The Black Bayou
7. Too Poor To Die
8. Don't Miss That Train
9. You Done Quit Me
10. I Come From Louisiana
11. Roamin' Stranger
12. At The Zanzibar



ルイジアナ・レッドは1932年アラバマのベッセマー生まれで、今年で78歳ですね。

この"Back to the Black Bayou"は昨年発売されたアルバムですが、レコーディング歴は意外と古くて、1952年にチェスにロッキー・フラーという名義で録音してます。

デトロイトではジョン・リー・フッカーとも活動してたようで、その時はプレイボーイ・フラーという名でレコーディングしてます。

その他に、クライン・レッドとかギター・レッドとか、そして、なんとエルモア・ジェイムス・Jrなんて名前も使ってたらしい。なんだろうねこの人は。

それらの音は聴いた事ないんですが、マディの影響受けてたようですから、多分、カントリー調のデルタ・ブルースでしょうね。

1963年のアルバム"The Lowdown Back Porch Blues"でルイジアナ・レッドを名乗る訳ですが、ルイジアナで活動したという記述を見つけられない。どうもルイジアナとは関係ない人なんじゃないかと思われます。

サウンド的には基本はデルタ・ブルースで、ルイジアナっぽさがあるといえばあるし、ないといえばない。微妙なんですよね。要するに結構いい加減な人なんでしょう。それがブルースマンといえばブルースマンらしいかも。

さて、今回のアルバム、自分が聴いた中では一番ルイジアナっぽいかもしれません(相変わらず、微妙なんですが)。そうでなかったらタイトル名とジャケットが泣いちゃうよ~。

前半はセルフカバー中心の構成で、一曲目から結構臭くて好きなんですよね。特にハーモニカがまったりとしたいい味出してるなとか思ったら、キム・ウィルソンでした。レッドの歌声は全盛の豪快さはないものの、77歳とは思えない力強さで元気いいです。この曲の要はやはりキムのハープかな。

2曲目も好きなほうでして、イントロでのレッドのギターが結構イナタイ。ハープはボブ・コリトアが吹いてますが、キム・ウィルソンにしてもこのボブ・コリトアにしても、かなりバイユーを意識した音色を出してます。この辺りがこのアルバムにとって大きな役割を果たしてると感じます。

全体的にやはりマディ経由のミシシッピ、デルタ・ブルース。それにルイジアナのエッセンスを少し加えたという感じのサウンド。この微妙な感じがルイジアナ・レッドのカラーかもですね。割と楽しめました。

2010年9月22日水曜日

Big Pete Pearson / Finger In Your Eye


『Big Pete Pearson / Finger In Your Eye』 (Southwest Musical Arts Fnd. 05)
1. Don't Mess With Me
2. Short Change
3. Time Has Come
4. Back Off
5. Sister From The City
6. Heartaches
7. Mastermind
8. That's That
9. Gamblin' With My Heart
10. Slippery When Wet



ビッグ・ピート・ピアソンを初めて聴いたのは、2007年に発売された『House Rockin' and Blues Shoutin'!』というオムニバスのライブ・アルバムでした。

Robert Lockwood Jr.を始め、Billy Boy Arnold、The Fabulous Thunderbirds、Floyd Dixon、Long John Hunter等々豪勢な出演者に混じって、ビッグ・ピート・ピアソンという自分にとって無名のブルースシンガーは、"That's All Right"を迫力のある力強い声で表現力豊かに歌ってました。

1936年ジャマイカ生まれでテキサスのオースティン育ち。W.C.クラークは従兄弟。
50年代後半からアリゾナのフェニックスで活動し始め、60年代にはその地では有名だったそうです。今もフェニックスで活動してるようです。

レコードデビューは2001年とかなり遅咲き。2007年のアルバムや今回の2009年のアルバムでは、豪華キャストで作製されてるところをみると、案外伝説のブルースシンガーとか言われてるのかもしれません。それ位言われてもおかしくない程の実力の持ち主ではあります。

今回もThe Rhythm Room All-Starsというバンドが全面的にサポートしてますが、ボブ・コリトアがオーナーのクラブThe Rhythm Roomのハウス・バンドのようです。その他に、デューク・ロビラードのバンドが(3)(6)で参加してます。

トラディショナルなシカゴ・ブルースがベースとなってるが、一曲目の比較的アップテンポの明るいノリはウエスト・コースト・ブルースに近い感じのサウンドです。バンドのノリの良さもさることながら、ビッグ・ピートの迫力のボーカルは圧巻。なかなか良いです。

デューク・ロビラードが参加してる(3)では、一転ジャジーなブルース。ジャジーなハモンドB-3、ブルージーなサックス、メローでソウルフルなデュークのギター、それに渋いボーカル。こりゃたまらん味わいですね。

(4)はミディアム・テンポのシカゴ・ブルース。ここではエディ・テイラーJr.のいぶし銀的ギターが心地よい。段々親父に似てきたな。やはり楽しみな人だ。

あと、ジャンプ・ブルースの(8)だね。こういう曲には目がなくてね。ブギウギ・ピアノが楽しいです。これにゲイトマウスばりのギターが入ってくると最高なんだけど。

全曲ビッグ・ピート・ピアソンのオリジナルです。スロー・ブルースの(6)も結構いいし、なかなか良い曲を作ります。歌が歌えて、曲作りも上手い。こういう人が21世紀になるまでアルバムが無かったというのは勿体無い話だな。
 


Sonny Rhodes / I'm Back Again


『Sonny Rhodes / I'm Back Again』 (Feelin' Good Records 007)
1. Can't Get Enough
2. Travelling Bluesman
3. Anne Mae Cafè
4. Can't Dance Boogie
5. Tell Me the Truth
6. Smithville Texas
7. I'm Back Again
8. Shake Your Hips
9. I Was Kidding
10. The Truth Hurts
11. Texas Stomp



2009年に発売されたサニー・ローズのスタジオ新録アルバムです。

このアルバムにはR.J.Mischo、Johnny Sansone、Brian Templetonという3人のハーピストが参加しており、サニー・ローズファンのみならず、ハーモニカ好きにも十分楽しめる内容となっております。

冒頭から躍動感のあるロッキン・ブルース的サウンドが爽快ですわ。

まずは、上のYouTubeでも演奏してる(2)がいいね。Johnny Sansoneの生ハープとシャッフルのリズムがしっかり効いてるので、ロッキン・ブルースといえど結構イナタい。サニー・ローズのラップ・スティールもマイルド&ファットで、かなり良い音してます。たまに、ギュイ~ンってスライドさせるのがたまらんね。

(3)はリトル・ミルトンの"Annie Mae's Cafe"ですが、何とも言えんサニー独特の雰囲気を持ったスワンピーなスロー・ブルースになってます。レイドバックしたラップ・スティールのレイジーなサウンド、これもまたいい味出してるR.J.Mischoのハープ、それに渋いサニーの歌声。これは痺れます。

(4)はアップテンポの豪快なロッキン・ブギ・ナンバー。Johnny Sansoneのアンプリファイド・ハープがとにかく強烈だ。

(5)はソウル・バラード。サニー・ローズというとラップ・スティールがトレード・マークで、そちらばかりに耳が行ってしまうが、ソウルフルな歌声も中々どうして上手い。Brian Templetonのハープもソウルフルで沁みるね。

さて、後半戦もかなり豪快なロッキン・ブルースが並んでまして、前回のライブ・アルバムよりも凄い強烈。その中でもやっぱりスリム・ハーポの(8)が好きだな。エクセロ・サウンドをブッ飛ばしてしまったな。その辺のロック・バンドよりもロックしてます。

あと、ファンク・ブルース(9)だな。そして、最後の(11)。"Texas Stomp"いいね。踊りだしたくなるような軽快なリズム、Stompはこうでなくては。Tiz Rooster Galliのヒューストン・ジャンピーなギター、それに軽快に絡むR.J.Mischoのハープ。最高やね。

Chicago Blues A Living History


『Chicago Blues A Living History』 (Raisin' Music RM1003)
Disc 1
1. Billy Boy Arnold - My Little Machine
2. Billy Boy Arnold - She's Love Crazy
3. Billy Boy Arnold - Night Watchman Blues
4. Johnny Iguana - Chicago Breakdown
5. John Primer - Feel Like Going Home
6. Lurrie Bell - I Believe
7. John Primer - Moanin' At Midnight
8. Mike Avery - Three O'clock Blues
9. Billy Boy Arnold - Memphis Slim USA
10. Billy Branch - Hate To See You Go
Disc 2
11. John Primer - Sugar Sweet
12. John Primer - Can't Stand To See You Go
13. Billy Boy Arnold - I Wish You Would
14. John Primer - Your Imagination
15. Lurrie Bell - My Love Will Never Die
16. Billy Branch - Hoodoo Man Blues
17. Billy Flynn - Hooking It
18. Mike Avery - Out Of Bad Luck
19. Billy Branch - One More Mile
20. Carlos Johnson - The Healer
21. Lurrie Bell - Damn Right, I've Got The Blues

現在のシカゴ・ブルースの第一線で活躍しているBilly Boy Arnold、John Primer、Billy Branch、Lurrie Bellを中心にして、
Billy Flynn - Guitar
Matthew Skoller - harmonica
Johnny Iguana - Keyboards
Felton Crews - bass
Kenny "Beedy-Eyes" Smith - drums
という強力な布陣を敷いて、シカゴ・ブルースをトリビュートしたアルバムだ。
戦前のサニー・ボーイやビッグ・ビル、50年代のチェス・サウンド、ウェスト・サイドから74年のジェームス・コットン、91年のバディ・ガイまで、年代を順を追って再現してます。
ベタなシカゴ・ブルースの新録は、正直言って遠慮しとこうかなと思ったのですが、あまりの豪華さについついと..... しかし、聴くとやっぱいいね。不朽のサウンドだよ。
シカゴ・ブルースに始まり、シカゴ・ブルースに終わる。十分説得力がある。








Alabama Mike / Day to Day


『Alabama Mike / Day to Day』 (Jukehouse Records JHCD 0010)
1. Day to Day
2. Death Letter Blues
3. Religion
4. Naggin
5. Lay My Money Down
6. Strange Angels
7. Too Many Cooks
8. Knockin At Your Door
9. Somethin On My Mind
10. I've Been Rocked
11. Sara Brown


アラバマ・マイク。1964年アラバマ州タラデガ生まれ。
2009年、デビューアルバムを引き下げ、いきなり世に出てきたブルースシンガーです。これまでの活動経緯はよく分からないが、活動の場は参加メンバーからするとウエスト・コーストのようです。

このアルバムが初録音だろうと思うのですが、それにしては貫禄のある歌を聴かせるシンガーで、しかも優れたソングライターでもある。サン・ハウスの(2)、エルモアの(6)(8)、ウィリー・ディクソンの(7)以外はオリジナル。結構いい曲が揃ってます。

まずは1曲目からガツンと来る迫力のある曲で、デルタ風味、シカゴ風味、ウェスト・コースト風味のさじ加減が絶妙。スライド・ギター、ベース、ドラムの最小セットでの重心の低い厚味のあるサウンド、好きだな。そして、何と言ってもそのサウンドに負けてない力の籠ったボーカル、ガシッと鷲掴みにされちゃいますよ。

次の(2)は、1曲目よりも更にデルタ風味を増したサウンドで、ミシシッピのジューク・ジョイントで演奏されてるようなロッキン・デルタ・ブルース。スライドのキレもカッコいいし、ベースはエレキとスタンダップのダブル・ベースで低音の厚味も凄い。いやーこの曲は爆音で聴きたい所やね。

(3)や(6)はB.B.キングをも思わせるウェスト・サイド的ブルーズン・ソウル。ギターを弾いてるのはマーク・ハメル・バンドのCharles Wheal。B.B.キング張りの中々味のある渋いギターを弾いてます。そして兎に角、歌がソウルフル。この辺りのブルースもいいね。

ワウ・ギターをフィーチャーしたファンキーな(4)。(5)ではジョン・リー・フッカー張りのどっしりとした重戦車ブギが結構カッコいい。

後半7曲目からはハーピスト衆が活躍しますが、(7)ではボンゴのラテンなリズムが特に印象的。

(7)(8)ではSteve FreundのクリーントーンのギターとScott Brentonのファットなハープの組み合わせ。これも中々聴き所ではあるが、それ以上に良いのがスローブルースの(9)。左側からはR.J. Mishoのハープ、右側からはSteve Gannonのスライド・ギター。この2人のハーモニーは痺れるくらい素晴らしくて、これはもう日本でいうところの「わび・さび」の境地ではないかと。何回聴いても痺れるね。

最後は3連スライドのエルモア・サウンド。シャッフルのリズムに絡むサックスのリフが何ともイナタイ。

こんなブルースマンが出て来るから、ブルース探求の旅はやめられない。



2010年8月26日木曜日

Saffire--The Uppity Blues Women / Havin the Last Word


『Saffire--The Uppity Blues Women / Havin the Last Word』 (Alligator ALCD-4927)
1. Goin' Down The River
2. Nothin' In Your House
3. Kitchen Man
4. Somebody's Gotta Give
5. Bald Headed Blues
6. Since You Been Gone
7. Blues Lullaby
8. Travelin' at the Speed of Love
9. I Can Do Bad All By Myself
10. Too Much Butt
11. Haste Makes Waste
12. Locked Up
13. Walkin' Home To You
14. Bald Eagle
15. I'm Growing Older
16. The Bad Times

サファイアはアコースティックなサウンドで、モダンなブルースを演奏するトリオのバンドです。
 
ギターのGaye Adegbalolaは、アコギでスライドを弾き、太くてツヤのある声でダウンホームなブルースを歌うブルース・ウーマン。このアルバムでは(5)(9)(12)(14)が自作曲。
 
ピアノはAnn Rabson。この容姿からは肝っ玉おっかさんにしか見えないのですが、バレルハウス調のブギウギ、ジャンプやスウィング、ニューオリンズ・スタイルのピアノまで結構多彩で、力強く気持ちの良いピアノを弾きます。歌は黒人シンガーを思わせるほどで、Gayeと区別が付きにくいんですよね。GayeはツヤがあってAnnは程良いざらつきがあるってところかな。(6)(8)(11)(16)が自作曲。

マンドリンやフィドル、ベース等をやるのがAndra Faye。カントリーなフォーク・シンガーという感じで、ギターを持って歌う自作曲の(7)は何処となくTish Hinojosaを思わせ、澄んだ良く通る声も魅力ですね。他に(13)が自作。

それぞれが自作曲や好みのカヴァー曲を持ち寄ってサファイアが形成されてるようですが、それぞれ個性的で面白い。それにサファイアの基本コンセプトは崩さないので凄く調和が取れてるのも素晴らしいです。

3人とも曲作りが上手いしカヴァーの選曲も良いので、どの曲もいいですね。その中でもこの曲というのを挙げるのはなかなか難しいですが、とりあえずGayeだったら(5)ですね。スライドを絡ませたダウンホームなブルースだけれども、ピアノでロウダウンなリズムを刻む所なんかニクイね。ドスの効いた歌も結構な迫力。

Annは(11)がめちゃ好きです。フェスを思わせるニューオリンズ的ブルースで、このノリがとても気持ちいい。Annのピアノはほんとにいいな。

カヴァー曲ではベッシー・スミスの(3)。歌はAnn Rabson、いやー聴かせてくれますね。

2010年8月19日木曜日

Rick Estrin & The Nightcats / Twisted


『Rick Estrin & The Nightcats / Twisted』 (Alligator ALCD-4930)
1. Big Time
2. Back From The Dead
3. U B U
4. Walk All Day
5. Catchin' Hell
6. Earthquake
7. P.A. Slim Is Back
8. A Ton Of Money
9. Take It Slow
10. I'm Takin' Out My In - Laws
11. Cool Breeze
12. You Can't Come Back
13. Someone, Somewhere
14. Bigfoot

1987年のデビュー以来、ナイトキャッツを引っ張ってきたギタリストのチャーリー・バティが引退!「え~!」ですよね。
チャーリーのジャジーでスウィンギーなギターが好きだったし、兎に角、チャーリーとエストリンはもう不動のコンビだと思ってたので、やはりショック。なんか寂しいね。またいつか、チャーリーはブルース界に戻ってくるはずですから落胆はしてませんが。

リーダーとなったリック・エストリンの新生ナイトキャッツの1stアルバム。
チャーリーの代わりにギターを担当したのはクリス"キッド"アンダーセンで、最近よく見かけるギタリストなんですよね。R.J.ミッシとかチャーリー・マッスルホワイトとかジョン・メネスのアルバムで。ロッキン・ブルースをガツンと弾く印象があるのですが、ソロアルバムを聴くとオーティス・ラッシュっぽかったり、ハリウッド・ファッツみたいなジャンプ・ブルースもやってたりして、なかなかブルースな人ですね。このアルバムではクリス作の曲が(6)と(14)と2曲収録されてます。どちらもハイテンションなロッキン・ブルースのギター・インスト・ナンバー。少し歪んだストラトのソリッドなサウンドがカッコいいですね。(14)なんかはスラッピングまではやってませんが、ロカビリーっぽいノリが楽しい。

さて、リック・エストリンさんですが、独特のクセのある歌い方には、好き嫌い好みが分かれる所でしょうが、クロマチック・ハープに関してはつまんないという人はあまりいないんじゃないでしょうか。スロー・ブルース(9)では、ウォルター・ホートンを思わせるような哀愁漂うクロマチックの音色に痺れますね。ヨーロピアン風の(11)はこのアルバムの中で唯一ジャジーな曲で、ハーモニカもジャジーなギターも渋い。表参道のカフェで流しても良さそうなオシャレな曲。シカゴ・ブルース(12)でのハープや何処か聴いたようなギター・フレーズがカッコいいロッキン・ブルースの(4)も結構好きですね。

新生ナイトキャッツは残念ながらジャジーさがあまりありませんが、エストリンの好みでしょうけれどもロッキン・ブルース色が強くなってます。このノリはやっぱ楽しい。

2010年8月16日月曜日

Bobby Jones / Comin' Back Hard


『Bobby Jones / Comin' Back Hard』 (Delta Groove DGPCD129)
1. She's The One
2. Two Headed Woman
3. I Must Be Crazy
4. Come In Out Of The Rain
5. Get It Over Baby
6. I Don't Know
7. Tired Of Your Jive
8. Cry For Me Baby
9. Three Handed Woman
10. Mystery Train
11. How Long Will It Last

ボビー・ジョーンズは伝説のブルース・シンガーだそうだが、正直知らなかった。
60年代始め、ジュニア・ウェルズの代わりにエイシズをバックに歌って脚光を浴び、アルバムを出すが芽が出ず、ソウル・シンガーに転向してアルバム出してもこれも駄目だったらしい。世に出ることなく消えていったシンガーのようです。
良い曲さえ作る事が出来たら、ボビー・ブランドのようになれたかもしれないが、歌うだけで生き残るにはやはり厳しい世界ですね。
3年前、デルタグルーヴ主催のバンド"The Mannish Boys"のアルバム"Big Plans"に参加するジョディ・ウイリアムスがボビー・ジョーンズを連れて来たそうである。
その"Big Plans"にゲスト参加、次のアルバムでレギュラーの座を獲得。そして、ソロアルバム。70歳にして出世である。
年齢に関係なく実力があれば、こういう幸運が巡って来て世に出て来る。ブルースの世界はやっぱり面白い。
さて、そのソロアルバムですが、サポートバンドが"The Mannish Boys"だから参加ミュージシャンがそりゃ凄い。パーピストがアル・ブレイク、ランディ・チョートコフ、リンウッド・スリム。ギタリストがカーク・フレッチャー、フランク・ゴールドワッサー、キッド・ラモスにジュニア・ワトソン。こりゃウエストコースト・ブルース・オールスターズやね。
これにピアニスト、ベーシストとドラマーなどなどで総勢何名だ?これだけの人が入れ替わりで演奏するとアルバムとしては散漫になる向きもあるが、そこはブルースを知り尽くした集団で、レーベルのコンセプトであるヴィンテージ・サウンド、リアル、ダウンホーム、ハウスロッキン、ロウダウンという方向性はしっかりしてる。そこにブルーズン・ソウル・シンガー、ボビー・ジョーンズの黒人らしい太くて渋い声が乗っかるという寸法だ。
曲はオール・カヴァーだが、結構渋い選曲で全曲ほんと気持ち良く聴けます。
とりあえずのお気に入りは、フレディ・キングもやったハンク・バラードの(1)。
なかなか良いです。

2010年8月13日金曜日

Buckwheat Zydeco / Lay Your Burden Down


『Buckwheat Zydeco / Lay Your Burden Down』 (Alligator ALCD-4929)
1. When The Levee Breaks
2. The Wrong Side
3. Let Your Yeah Be Yeah
4. Don't Leave Me
5. Back In Your Arms
6. Throw Me Something, Mister
7. Lay Your Burden Down
8. Time Goes By
9. Ninth Place
10. Too Much Time
11. Finding My Way Back Home

若手のザディコマン達は、伝統的なボタン式のアコーディオンを使用して、ファンクやヒップホップを取り入れた新しいザディコをブイブイやってましたが、最近のザディコとはちょっと疎遠になってしまったので今の主流がよく分からない。ソウルやブラコンを取り入れたカーリー・テイラー辺りが出て来て流れは変わってきてるのかな。

バックウィート・ザディコはクリフトン・シェニエ直系の大御所中の大御所。80年代終わりに来日もしてますし、その当時結構流行ったらしいですね。シェニエはバイユー・ブルースだったが、バックウィートはブルース、カントリー、ソウル、R&R、ロックにポップ、結構な雑食性だったりします。「Where There's Smoke There's Fire」でストーンズの「Beast of Burden」を聴いた時はおーって思ったね。

そのバックウィート・ザディコの久しぶりのアルバムは、なんとアリゲーターから発売されました。アリゲーターからと言えどもやっぱりガツンとザディコが聴きたい。

しかし、一曲目から度肝を抜かれてしまった。この曲はメンフィス・ミニーの曲だが、これはもろツェッペリンバージョンのハードロックだもの。スライドの名手サニー・ランドレスのギターが凄いインパクトあって、曲によくマッチしてますね。ハモンドB3を弾いてたバックウィートも後半アコーディオンに持ち替えますが、ザディコの雰囲気はあまり感じられません。しかし、カッコいい。

次の曲は何年か前、アリゲーターからデビューしたJJ Greyの曲。義理立てかもしれませんが、元々結構良い曲です。メリハリのあるシャッフルのリズムがなかなか良い。何回か聴いてるうちにザディコに聴こえてくるからあら不思議。

(3)はジミー・クリフ。レゲエとザディコは相性いいね。リズムがブリブリだけがザディコではないと思わせてくれます。オリジナルの(4)やブルース・スプリングスティーンの(5)もレゲエのリズムを取り入れたザディコで、凄くソウルフル。この辺りはかなり好きですね。(5)はなんか泣けてきます。

何だかんだ言ってもザディコはこうでなくちゃというのが(6)。一番ザディコらしいザディコ。ザディコパーティーに行きたくなるようなこのノリ。楽しいです。

キャプテン・ビーフハートなんかも飛び出して、めちゃバラエティに富んでますが、バックウィート・ザディコはブルージーだからやっぱいいんですね。

2010年8月4日水曜日

Eddie Taylor / Live in Japan, 1977 - Deluxe Edition


『Eddie Taylor / Live in Japan, 1977 - Deluxe Edition』 (P-VINE PCD-28007/8)
DISC 1
1. Honky Tonk
2. That's All Right
3. Kansas City
4. I Don't Know
5. Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Dee
6. She's Nineteen Years Old
7. Got My Mojo Working
8. Stop Breakin' Down
9. Goin' Down Slow
10. My Sometimes Baby
11. Bad Boy
12. Blow Wind Blow
13. Going Upside Your Head
14. You're Gonna Look For Me (And I'll Be Hard To Find)
15. Kind Hearted Woman
DISC 2
1. Night Train
2. Mean Old World
3. Caldonia
4. Hamburger O-I-8-1-2
5. For You My Love
6. Tin Pan Alley
7. Take A Little Walk With Me
8. Mean Black Spider
9. Off The Wall
10. Hoy Hoy
11. Come Back Baby
12. Signals Of Love
13. There'll Be A Day
14. I'm A Country Boy
15. Crossroads
16. Hideaway
17. Baby Please Don't Go

ロック業界にしろブルース業界にしろ、名盤がデラックス・エディション化されてちょくちょく発売されてるが、エディ・テイラーのライブ・イン・ジャパンもとうとう発売された。(と言っても1年位前の話だが)
 
デラックス・エディションってアルバムとしては散漫で、メーカーの金儲けの手段だと分かってても、こういう類の商品ってどうも弱くてついつい購入してしまう。

このライブ・イン・ジャパンはリミックス&リマスターで、曲目も完全ではないが十分収録されてるので、ステージの流れが分かってまあ面白い。そういう意味では購入して損はないかな。

リミックスとリマスターですが、やはりサウンドは現代的なメリハリの効いた音になってますね。実際のサウンドはこんな感じだったんだろうなとも思いますが、オリジナルのまったりとした音がやっぱ好きだな。このアルバムが出て、オリジナルを売っちゃった人が結構いると聞きましたが、勿体無いですよ。アルバムとしては全く別物なのに。

あと、ルイス・マイヤーズのギターの音量。せめてエディがメインの時はもう少し絞って欲しかったかな。

それと、お客さんの歓声。絞ってしまいたくなる気持ちも分からなくもないが、迫力が半減しました。ライブだもんね。

今でもたまにこのアルバム聴きますが、DISC 1は8曲目から、DISC 2は9曲目から聴き始めます。

オディ・ペインのノヴェルティ・ソングとかも結構面白いのですが、一枚70分は非常に長いし、エディ目当てで聴くとなるとここからで十分。

エディがサイドに回った時のあの引き摺るようなリズム、メインの時の切れ込みの良いアグレッシブなギター。戦前のブルースマンのような歌いっぷりの渋いボーカル。やっぱりエディ・テイラーは最高だね。
オフ・ザ・ウォール!いいよ。